研究課題
本研究は、研究代表者らが新規に確立した肥満・糖尿病モデルZFDMラットを対象として、メタボローム解析を中心とした詳細な表現型解析ならびに単離膵島を用いたインスリン分泌障害のメカニズムの検討により、当該ラットの病態発症機構を明らかにすることを目的としている。平成29年度は、前年度に引き続きZFDMラットについて12週齢から糖尿病発症後の24週齢までの病態進展過程について詳細な解析を行うとともに、ZFDM系統の起源である肥満モデルZFラットについても同様の解析を行った。さらに、単離膵島を用いたメタボローム解析とトランスクリプトーム解析から病態発症に関与する代謝物・代謝経路を特定した。(1)病態発症・進展過程の経時的な表現型の解明:肥満モデルZFラットでは12週齢時に肥大した膵島が見られ、24週齢時にも肥大したまま保持されていた。ZFラットはZFDMラットと同程度のインスリン抵抗性を示すが、耐糖能障害は軽度であった。(2)単離膵島を用いたインスリン分泌障害のメカニズムの解明:ZFDMラットとZFラットから単離した膵島を用いたメタボローム解析およびトランスクリプトーム解析により、ZFDMラットの膵島、特に肥大した膵島ではインクレチン受容体の発現低下、解糖系の亢進、乳酸産生の亢進、TCA回路の減弱、グルコースからのグルタミン酸産生の減弱などの異常が認められた。これらが肥大膵島におけるインクレチン応答性インスリン分泌障害に関与することが示唆された。(3)病態発症・進展に関与する代謝物・代謝経路についての細胞レベルおよび個体レベルの解析:上記の単離膵島を用いた解析により解糖系から分岐するヘキソサミン生合成経路の亢進が示唆され、実際にこの経路の最終産物であるUDP-GlcNAcが結合したO-GlcNAc修飾タンパク質の増加が認められた。
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