研究課題/領域番号 |
15K06807
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
吉田 哲 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (00365438)
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研究分担者 |
三谷 幸之介 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (10270901)
汲田 和歌子 公益財団法人実験動物中央研究所, 応用発生学研究センター, 研究員 (50549128)
徳永 暁憲 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, その他部局等, 室長 (70549451)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ゲノム編集 |
研究実績の概要 |
従来ノックイン動物の作製は、まずES細胞にターゲッティングベクターを導入し、外来遺伝子がノックインされたES細胞からキメラ動物を作製することにより行われてきた。しかし、ES細胞の性質の違いにより、この方法は、マウス以外で行うことが不可能であるため、現在、マウス以外の動物でノックインを行う場合、CRISPRとドナーDNAを受精卵に導入することにより行われている。非ヒトモデル動物であるマーモセットは、得られる卵子の数が少ないため、ノックイン動物を作製するためには、外来遺伝子のノックイン効率を上昇させる必要がある。そこで、ヒトES/iPS細胞において組換え効率を上昇させることが知られているヘルパー依存型アデノウイルスベクターを用いることにより、マーモセットの受精卵においてもノックイン効率を上昇させることができるのではないかと考え、試してみることにした。 まず、マーモセットのES細胞に、ドナーDNAとCas9およびsgRNAを発現する遺伝子カセットをのせたヘルパー依存的アデノウイルスベクターを感染させたところ、それぞれをリポフェクション法で導入するより2~3倍高いノックイン効率が認められた。しかし、受精卵に導入する際、近年、Cas9はタンパク質にsgRNAを結合させた形で導入することが主流であること、ウイルスでドナーDNAを導入すると核に入るまでに時間がかかることなどから方針を変更した。 アデノウイルスには、細胞においてゲノムDNAが切断された際の修復機構である、非相同末端結合を阻害する遺伝子が存在する。この遺伝子を発現させることによりドナーDNAの相同組換え効率が上がることを期待し、ドナーDNA、Cas9、sgRNAの発現カセットとともにマーモセットES細胞に導入したところ、ノックイン効率が2~3倍上昇した。将来的には、この結果をマーモセット受精卵で試す予定である。
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