今年度は実験動物感染症起因菌のうち、以下の菌株を用いMALDI- TOF MSのデータベースの登録、拡充を行った。Mycoplasma pulmonis 野外株4株、Bordetella bronchiseptica ATCC 19395、Bordetella hinzii ATCC 51783 Citrobacter rodentium ATCC 51459、Streptococcus pneumoniae ATCC 33400、Streptococcus equi subsp. zooepidemicus ATCC 43079また以下の野外株を測定した。そのうちBordetella hinziiに関しては同定スコアが44%から77%に上昇した。その他の菌種は100%で変化はなかった。Bordetella bronchiseptica 54株、Bordetellaa hinzii 45株、Pasteurella multocida 10株、Pseudomonas aeruginosa 52株、Staphylococcus aureus 50株 本法による同定検査では類縁菌との切り分けが非常に重要な要素となってくることから類縁菌種のデータを新たに追加した。また動物の常在菌も同様に切り分けの対象となるため、実験動物から分離される可能性がある菌種も追加した。これらの菌種数はActinobacillus pleuropneumoniae ATCC 27088、Actinobacillus suis ATCC 33415、Bordetella avium ATCC 35086、Bordetella ansorpii NCTC 13364をはじめとする計18菌種である。これらの結果から実験動物の感染症起因菌、類縁菌及び常在菌27菌株を登録し、データベースの拡充を行うとともにBordetella hinziiに関してはその同定スコアを大きく上昇させることができた。このことからヒトの臨床例から分離される細菌が中心であるMALDI-TOF MSのデータベースを実験動物の微生物モニタリング検査に適合するように拡充することができた。
|