研究課題/領域番号 |
15K06833
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研究機関 | 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所) |
研究代表者 |
竹中 克也 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), その他部局等, 技師・研究員 (20378706)
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研究分担者 |
荻 朋男 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (80508317)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 低酸素 / 遺伝子破壊 |
研究実績の概要 |
乳癌原因遺伝子BRCA1/2は正常細胞においてゲノムの安定維持に貢献していると考えられる。DNA修復,中心体複製制御業績,さらには細胞質分裂制御業績といった様々な発癌抑制機に係わるBRCAを臨床開発の標的とするには,当分子に留まらず機能特異的相互作用分子を含めたネットワークの解明が必要であった。本研究は画期的手法によって機構毎にBRCA分子内の責任部位と特異的分子間相互作用を明らかにし,発癌抑制機構の分子基盤を明確にすることを目標にしている。そのために,I.癌研究にブレークスルーをもたらす新規定量・スクリーニング手法の開発,II.DNA修復と中心体複製制御機能別に特異的な分子間相互作用の解明,III.ゲノム解析との有機的統合によるBRCA点変異の発癌誘導分子基盤の解明,IV.癌診断・治療法開発の標的となる新規マーカーと分子内責任部位の選出,の順に計画的に研究を実施している。 計画三年目の本年度は,過年度にて選出されて来た,がん検診・治療法開発の標的となる新規マーカー候補について,培養細胞を用いた検討を開始した。プローブ法qRT-PCRを用いた検討で,固形癌内微小環境を模した低酸素低脂質状態での遺伝子発現の上昇を見出した。引き続きタンパク質発現を調べるため特異抗体を作製し,イムノブロットによって遺伝子産物の発現を明らかにできた。さらにCRISPR/Cas9法により遺伝子破壊した細胞株を樹立しマウスに異種移植したところ,遺伝子破壊株により形成された腫瘍に縮小が見られた。腫瘍内分布の詳細な情報が望まれることから,組織免疫染色可能な抗体を得るためモノクローナル抗体の作製を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画策定時に期待していた新規マーカー候補を得ることができ,それらの解析についても科学的段階を踏んで着実に進展していることから,想定通りの状況と判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き段階的に解析を進める。また一定の成果について特許出願を行なった後,対外発表を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 特に物品費については国費が原資である本補助金をより有効に活用するため,同等の性能を発揮する範囲において調達物品および調達先の見直しに不断の努力を継続した。そのため当初見積もりよりも支出が下回る状況を達成した。 (使用計画) 上記により,計画策定時には予算的に困難と考えていたモノクローナル抗体作製を開始することができた。補助事業期間延長を承認いただけたため,完成に時間が掛かるものの次年度にそれを用いた解析を計画することが可能になった。
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