研究課題
本研究課題は独自に構築した悪性リンパ腫モデル及びヒトリンパ腫細胞株を用いて腫瘍免疫回避・抵抗性機構を同定し、新規治療法の開発へ繋げることが目的である。前年度でFasによるアポトーシスに抵抗性を示すヒトリンパ腫細胞株においてLivinがその抑制に重要な役割を担っていること見出したが、本年度ではまずLivin高発現がリンパ腫患者の予後と相関しているのか、遺伝子発現データベースを用いて解析を行った。その結果、バーキットリンパ腫及び、びまん性大B細胞リンパ腫の患者においてLivinが高発現であると低発現の患者と比較し有意に予後不良と相関することが分かった。一方Fasの高発現は予後良好と相関するが、Fas低発現かつLivin高発現の患者は最も予後不良であることを見出した。次にLivinの発現を制御する分子機構を解明するため、がんへの関与が報告されているシグナル経路阻害剤を用いて検討したところ、がん関連シグナル経路はLivin高発現に影響していないことが分かった。つまり、主要なシグナル経路に依存せず発現が制御されていることが示唆された。今後プロモーター配列から想定される転写因子、エピジェネティクス制御に関わる因子に焦点を当ててさらなる検討を行う必要がある。次にLivin阻害剤を用いた検討を行った。Livin阻害剤であるBV6はSmacと呼ばれるLivin分解促進因子の類似体である。そこでLivin高発現株においてFasを発現させ、BV6とFasリガンドの同時処理を試みたところ、BV6によってLivinが抑制されることにより、Fasによるアポトーシスの顕著な亢進が見られた。これらの結果からBV6のようなLivinを標的とする治療法はFas-Fasリガンドを介した腫瘍免疫を再活性化させ、悪性リンパ腫の予後を改善する非常に重要な治療法となり得ることを明らかにした。
すべて 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
Biochem Biophys Res Commun
巻: 497 ページ: 783-789
10.1016/j.bbrc.2018.02.154
Cancer Med
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1002/cam4.1323
Cancer Sci
10.1111/cas.13554
Mol Cancer Ther
巻: 16 ページ: 182-192
10.1158/1535-7163.MCT-16-0499
Blood
巻: 129 ページ: 1958-1968
10.1182/blood-2016-07-726216
http://genereg.jp/index.html