研究課題
我々が開発したTP53 signatureは予後および術前化学療法の治療効果の予測性が非常に高く、臨床的有用性が高い。本研究はこれまでの研究の出口戦略として、TP53 signatureの臨床応用を目指し、簡便な診断キットの開発を行うものである。また、その診断キットを利用したデータ検証のための後ろ向き観察研究を行うものである。nCounterを用いたTP53 signatureのプローブセットを作成した。TP53ステータスが既知のコホート(n=30)を用いてTP53 signatureデータを取得し、TP53ステータスを診断するカットオフ値(0.78)を設定した。Stage I-IIの早期乳がんコホート(n=174)を用いて、TP53 signatureを取得した。その結果、変異型64例、野生型110例であった。両群において、Stageに有意差は認めなかったが、ER、PR、HER2、Gradeには統計学的有意差を認めた。また、術後補助化学療法は変異型群で、術後補助内分泌療法は野生型群で実施率が高かった。無再発生存期間(RFS)では、TP53 signatre、Stage、リンパ節転移の有無において予後に有意な差を認めたが、多変量解析の結果からはTP53 signatureが最もRFSと関連する因子であることが明らかとなった。また、RNAシークエンスにより網羅的遺伝子発現データを取得し、臨床応用されている遺伝子発現プロファイルであるMammaprint、OncotypeDXおよびPAM50と予後予測性の比較を行ったところ、TP53 signatureがもっとも予後の予測性が高いことが示された。術前化学療法症例を対象としたTP53 signatureと効果予測性の検証として、100例の術前化学療法症例の検体を取得してTP53 signatureデータを取得した。
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Oncotarget
巻: 9 ページ: 14193-14206
https://doi.org/10.18632/oncotarget.24447