研究課題
消化管粘膜下腫瘍は,臨床的には,疾患比率的に悪性の素質を有する消化管間葉系腫瘍(GIST)と良性平滑筋腫の鑑別意義は大きい.我々が開発した内視鏡による粘膜下トンネル生検法の特色は,従来の組織採取法に比較し,小さな腫瘍でも腫瘍視認下に確実な純検体を得ることが可能な点である.基礎研究に適したその純検体を用いてmicroRNAの網羅的解析を行い,有意発現した特異的microRNAが新たな血清学的鑑別マーカーとなる診断法の確立を目指している.血清のcirculating miRNAを用いた検討では,real-time qPCRにてGIST群と平滑筋腫群の間で有意差のあるmiRNAはなかった.そこで方針を変更し,血清中のexosomeに含まれるmiRNAに限って,array chip を用いて2555種類のmiRNAの発現を網羅的に解析した.その結果,GIST群(7例)と平滑筋腫群(5例)の間で,発現に有意差のある22種類のmiRNAを同定した.GISTの症例を追加することはできたが、平滑筋腫の症例を追加できる可能性は乏しかったので,方針を変更し,GIST(内科で生検した症例)10例と健常者10例で血清exosome miRNAを比較することにした.また,GISTの外科切除例10例を確保し,腫瘍組織のmiRNAと腫瘍周囲正常組織のmiRNAの比較検討を追加した.以上の検討の結果,血清exosome miRNAの比較において,7分子のmiRNAの発現に有意な差があった.この7分子のうち3分子においては,GIST腫瘍組織と周囲正常組織のmiRNAの比較においても,発現に有意な差があった3分子のmiRNAをreal-time qPCRによる定量の対象とし解析を進めている。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Endoscopy International Open
巻: 05 ページ: E695~E705
https://doi.org/10.1055/s-0043-112497