研究課題
前年度までの担癌マウスモデルによる基礎的検討により、照射に端を発する免疫賦活メカニズムを介したabscopal effectの誘導には自然免疫が関与することが明らかになった。細胞分子生物学的処理において、株式会社エフェクター細胞研究所から免疫賦活剤となるケモカインの提供を受け、東京大学大学院医学系研究科社会予防医学講座分子予防医学教室研究員の技術協力により順調に進捗した。FACS解析ではエフェクタ細胞としてCD4/CD8陽性T細胞のみならずNK細胞やCD11c陽性DCやCD11b陽性細胞等の抗原提示細胞が中心的役割を果たすと考えられた。さらに臨床応用に繋がる適切な照射プロトコールを確立するため、MHC classの異なるC57BL/6系とBALB/cマウスを用いて各種ヒトがん細胞での照射実験を行った。既に報告しているようにECI301によるabscopal effect誘導においては腫瘍および宿主特異性が複数回のチャレンジでも認められず、その結果はconventional fractionationでもSBRTを見据えた寡分割照射でも有意な違いがなかった。ただしケモカインを用いずとも単回大線量の下では軽度のabscopal regressionが起き得ることが予備実験で認めらており、マウス実験の解釈と臨床応用への外挿には注意を要する。分子メカニズム探索実験でHMGB1とHSP70の関与が証明されたが、さらに予定研究期間を1年延長し、最小単位でのabscopal effect誘導物質の探求のため化学的に合成されたECI301の部分ペプチドによるeffector候補が判明し、論文化した。abscopal effectのメカニズム理解には、遺伝子レベルの深遠な研究発展が望まれる。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件)
Journal of Radiation Research
巻: 60 ページ: 142-149
doi.org/10.1093/jrr/rry095
Radiotherapy and Oncology
巻: in press ページ: in press
In press
Jpn J Clin Oncol
巻: 49 ページ: 57-62
doi: 10.1093/jjco/hyy160.
Clinical and Translational Radiation Oncology
巻: 10 ページ: 7-12
doi.org/10.1016/j.ctro.2018.02.004
International Journal of Medical Physics, Clinical Engineering and Radiation Oncology
巻: 7 ページ: 363-375
DOI: 10.4236/ijmpcero.2018.73030