腫瘍の不均一性は治療の困難をもたらす。特に血管から離れた低酸素領域では薬剤が到達しにくく、再発の原因となっている。本研究ではドラッグデリバリーシステムを用いて腫瘍の深部まで到達するキャリアの開発を目的とした。すい臓がん皮下腫瘍モデルを作成後に、多光子顕微鏡を用いて種々のDDSキャリアの腫瘍深部への集積性を比較した。間質の多いすい臓がん細胞BxCP3の皮下腫瘍モデルにおいて、ポリエチレングリコールとポリアミノ酸のブロック共重合体と核酸の自己組織化で形成されるポリイオンコンプレックスが最もsiRNAを腫瘍に送達することがわかった。さらにポリマー構造の最適化により腫瘍集積性が1.8倍向上した。
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