研究課題/領域番号 |
15K06873
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研究機関 | 武蔵野大学 |
研究代表者 |
高橋 徹行 武蔵野大学, 薬学研究所, 講師 (00403692)
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研究分担者 |
上原 久典 徳島大学, 病院, 教授 (30263809) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | PGE2受容体 / がん / メタボローム / グルタミン酸代謝 |
研究実績の概要 |
前年度に実施したメタボローム解析でEP2/EP4拮抗剤前処理によりペントース-リン酸代謝経路、コリン代謝経路、グルタミン酸代謝経路に関わる代謝物群の顕著な変動がIGF-1で刺激したヒト膵臓がん細胞株BxPC-3で確認された。そこで、これらの代謝経路で機能する酵素群のmRNA発現レベルの変動を定量RT-PCRによって検討した。その結果、グルタミン酸代謝経路内のgamma-glutamylcyclotransferase (GGCT)の有意な増加および4-aminobutylate aminotransferase (ABAT)、succinate-semialdehyde dehydrogenase (SSADH)の有意な減少が認められた。このうち、タンパク発現の変動と相関が認められたのはGGCTだけであったので、この分子に関するより詳細な検討を行う事とした。
まず、レトロウイルスベクター発現系を用いたBxPC-3由来GGCT恒常的ノックダウン株の樹立を試み、親株と比してGGCT mRNA、タンパク発現が90%以上抑制されているノックダウン株の樹立に成功した。このノックダウン株は細胞増殖速度が親株より有意に低く、またIGF-1による増殖刺激に対する感受性も低下していた。さらに、EP2/EP4拮抗剤前処理によるIGF-1増殖刺激反応の鈍化も抑制されていた。GGCTによる代謝反応ではグルタミン代謝前駆物質である5-oxoprolineが生合成されるため、5-oxoproline処理による影響を検討したところ、ノックダウン株は5-oxoprolineによって細胞増殖速度低下が消失する事が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
グルタミン酸代謝経路に関わる酵素群の詳細な解析は予定通り実施できたが、他の代謝経路についての解析がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
ノックダウン株を用いた解析については、変異体を導入したadd-back experimentや転写調節機構の解析をはじめとしたin vitroの検討と共に、移植モデルを用いたin vivoでの検討の実施を目指す。また、コリン代謝経路に関わる酵素群の検討で、いくつかの分子のmRNA発現の変動が認められているので、これに関してもグルタミン酸代謝経路の解析と同様のアプローチを通して責任分子の同定を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験計画申請時に見積もっていた使用・購入予定物(主に動物実験関連)に関しての支出を減らす事ができたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度への繰越額は平成29年度研究実施計画における物品費および論文投稿料等の諸経費に充てる予定である。
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