研究課題/領域番号 |
15K06881
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
宇都口 直樹 帝京大学, 薬学部, 教授 (80276633)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 血管新生 / がん免疫 |
研究実績の概要 |
腫瘍組織の増大に血管新生は必須であることから、腫瘍組織の新生血管を標的とした分子標的治療薬の開発がなされ、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を標的とした抗VEGFモノクローナル抗体は、直腸がんの治療薬として上市されている。しかしながら、脳腫瘍は血液脳関門が存在するため、多くの抗悪性腫瘍薬に著効が示されず、また適用となっている分子標的治療薬も皆無である。一方、近年、腫瘍細胞の発生や転移先での腫瘍組織の増大といった初期の腫瘍組織増大時、血管内皮細胞から構成される新生血管とは異なる“擬似血管”と呼ばれるがん細胞群が極めて重要な働きをすることが報告されてきた。擬似血管は、従来から知られている血管内皮細胞や血管内皮前駆細胞が構築する血管新生経路に加え、腫瘍増殖の初期段階でがん細胞自身が血管様の構造を形成し、血管として機能しているものである。そのため擬似血管は初期のがん増殖に極めて重要な役割を担っており、擬似血管を標的とした治療法は、新規作用機序のがん治療法となることが期待される。そこで、悪性脳腫瘍の新規治療法の開発を目的に、擬似血管を標的とした樹状細胞ワクチン療法と、ファージディスプレイ法を駆使した抗擬似血管特異抗体の創製および本抗体を用いたがんテーゲティング製剤の開発を行った。本年度は、その基礎検討して、擬似血管のin vitro培養法の確立を行った。マウス腫瘍細胞を種々細胞外マトリック(コラーゲンゲル、マトリゲルなど)中で培養することで、擬似血管様構造を構築することを見出した。また至適なゲルの濃度、至適なサイトカインの添加により擬似血管構造が促進されることを見出した。さらに、浮遊培養用プレート上で培養しすることにより、スフェロイドを形成し、その内部構造に擬似血管構造を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画どおり、擬似血管培養法の確立に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、計画通り、本細胞を抗原とした免疫療法の効果および抗擬似血管抗体の作製を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
概ね計画通り、研究は遂行できたが、購入費の値引きなどもあり、その差額は僅かに生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
差額は、次年度、消耗品購入費として使用する。
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