申請者は、ヒト配列依存的アレル特異的メチル化のみならずマウス配列依存的アレル特異的ヒドロキシメチル化を世界に先駆けて同定し、疾患感受性の有無を規定する多型の作用機序をそれらに対するメチル化およびヒドロキシメチル化の有無が導く遺伝子発現差異を 通して理解できることを示してきた。しかしながら、配列依存的アレル特異的メチル化はヒトおよびマウスにおいて普遍的に存在することが明らかになっている一方で、配列依存的アレル特異的ヒドロキシメチル化は、どの程度マウスゲノム上に存在するかはわかって いない。そこで本研究では独自に開発した手法を用いて、配列依存的アレル特異的ヒドロキシメチル化がマウスゲノム上でどの程度普遍的に存在するかを調べることを目的とした。 本年度は、互いに亜種関係にあり多くの多型を有するJF1マウスとB6マウスを相互に掛け合わせたJF1/B6マウスとB6/JF1マウスの脳由来ゲノムを用いて、既知の配列依存的アレル特異的メチル化領域10個が配列依存的アレル特異的ヒドロキシメチル化を受けているかを 独自に構築したATMD(Allelic Triple Methylation status Detection)-PCR法とバイサルファイトシークエンス法により調べた。結果として、このうち一つが配列依存的アレル特異的ヒドロキシメチル化を受けていることがわかった。しかしながら、既知の配列依存的アレル特異的メチル化領域3個については、バイサルファイトシークエンス法による検証が終了しておらず、引き続き確認を行っている。
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