研究課題
申請者は、これまでに、生体内でのクロマチン構造を保存したまま解析対象とするゲノム領域を単離する方法の一つとして、enChIP法(engineered DNA-binding molecule-mediated chromatin immunoprecipitation)を開発してきた。enChIP法は、ゲノム編集技術で利用されているTALENテクノロジー(TAL蛋白質)やCRISPR系などの人工DNA結合分子のDNA認識領域を利用し、解析対象とするゲノム領域を細胞内でタグ付けした後、当該ゲノム領域を遺伝子座特異的に単離する方法論である。本申請課題では、人工DNA結合分子の細胞内発現を必要としない、in vitro enChIP法の技術基盤を確立する。具体的には、機能分子として精製した人工DNA結合分子と、細胞から抽出・断片化したゲノム複合体を、試験管内で混合後、アフィニティー精製することで、解析対象ゲノム領域を単離する技術を確立する。これまでに、精製したTAL蛋白質やCRISPR系を利用したin vitro enChIP法の可能性について検証を行ってきた。その結果、精製CRISPR分子がin vitro enChIP法に適していることが判明した。次に、技術基盤が確立できたCRISPR系を利用したin vitro enChIP法を利用し、細胞内で解析対象ゲノム領域に結合しているDNA・蛋白質・RNAの網羅的同定を進めた。in vitro enChIP法と次世代シーケンス解析を組み合わせることで、標的ゲノム領域と相互作用しているゲノム領域を同定することができた。さらに、標的ゲノム領域に存在する遺伝子の発現制御を担うエンハンサー領域を同定することも成功した。
すべて 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 図書 (2件)
Biochemical and biophysical research communications
巻: 499 ページ: 291-298
10.1016/j.bbrc.2018.03.150
Genes to Cells
巻: 23 ページ: 318-325
10.1111/gtc.12573
BMC Research Notes
巻: 11 ページ: 154
10.1186/s13104-018-3262-4
DNA Research
巻: 24 ページ: 537~548
10.1093/dnares/dsx023
巻: 22 ページ: 506~520
10.1111/gtc.12492
bio-protocol
巻: 7 ページ: e1124
10.21769/BioProtoc.2612