家族性の知的障害である脆弱X症候群の根本的病因は、責任遺伝子FMR1内に存在するCGGリピートの母性伝播時の伸長(不安定化)とそれに伴う遺伝子不活性化である。本研究ではその一連の分子的な病態メカニズムを解明するために、染色体工学技術とゲノム編集を用いてリピートの不安定化を蛍光でモニターできる系を構築し、そこに関わる因子の同定を試みたが、ゲノム編集を用いた蛍光モニター系は本来ヒトで認められているFMR1の発現パターンを反映する結果を得られなかった。しかし、CGG リピートなどを主体とする染色体脆弱部位を安定に取り扱うことに関して、染色体工学操作が極めて有用な方法論であることが示された。
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