研究課題/領域番号 |
15K06898
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
佐野 訓明 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (00294405)
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研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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キーワード | DNAトポイソメラーゼ / 機能性RNA分子 / 神経関連遺伝子 / 遺伝子砂漠 |
研究実績の概要 |
ジャンクDNA で占められている遺伝子砂漠の周辺には,数百kb を超える長大な神経関連遺伝子が多く認められ,それらの遺伝子の発現誘導にはDNA トポイソメラーゼIIβ(トポIIβ)が必要である。本研究では,トポIIβの制御に関わる複数のRNA分子を同定し,その制御機構の分子メカニズムの解明を目的としている。 本年度は,トポIIβのDNA 弛緩活性を抑制しかつ核小体への偏在化に関わるCRD(C末端制御ドメイン)に結合する機能性RNA 分子の同定について研究を行ってきた。これまでに,RNAの結合精製に用いる為の6xHisタグやGSTタグと融合させたCRDを大腸菌で大量発現するためのベクター構築が完了してる。現在,大腸菌を大量培養し,融合タンパク質の大量精製を試みている。また,CRDのRNA結合に関わるアミノ酸残基を同定する為に,CRDに存在するリジン残基13個とアルギニン残基3個を4つの領域に区分してそれぞれをアラニンに置換した変異CRDを複数作製した。また,CRDの一次配列情報を解析した結果,複数の潜在的リン酸化部位を見いだした。特に,中心部分に位置するプロリン指向性セリン/スレオニンキナーゼの認識配列はRNA分子との結合の制御に関与している可能性が考えられたので,併せて変異導入を行った。しかし,現段階ではこれらの変異の核小体への偏在化やRNAによる弛緩活性抑制に対する影響は確認出来ていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度の間に,CRD(C末端制御ドメイン)に結合するRNAの同定を計画していたが,まだ同定に至って居ないので,“やや遅れていると”判断した。CRDに結合するRNAはrRNAなどに普遍的に大量に存在するRNAで可能性を想定している。その為に,これらのRNAが結合・精製された場合でも,その結合が特異的かどうかを判断が難しい。その為に,次年度以降に計画していた,CRDの変異タンパク質発現のためのプラスミドベクターの構築を前倒しして実施し,その変異タンパク質をネガティブコントロールとして使用することとした。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度前半のなるべく早い時期に,CRD(C末端制御ドメイン)に結合するRNAの同定を完了する。CRD変異タンパク質をネガティブコントロールとして使用する事でより明白な結果を得られると考えている。CRDに結合するRNAは,以降の研究計画の実施内容に多大に影響してくるので,迅速に結果を出すようにする。また,その制御機構の解明に有用だと考えられるので,CRD変異タンパク質の核内動態,トポIIβの活性制御に対する影響を平行して解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に計画していたRNAの同定が成功していない為に,研究の実施が想定よりやや遅れてしまった。特に,RNAの同定以降に使用するペプチド合成や受託シークエンシング,結合実験用ビーズなどの高額な消耗品を必要とする実験が実施出来なかった。また,計画していた学会での参加発表が出来なかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度計画していた研究は平成28年度の早い時期に実施し,消耗品費を使用する予定である。旅費に関しては平成28年度の前半に学会にて成果発表を行う予定である。
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