研究課題/領域番号 |
15K06905
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
櫻井 哲也 高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 准教授 (90415167)
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研究分担者 |
野村 俊尚 国立研究開発法人理化学研究所, その他部局等, 特別研究員 (20722771)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ゲノム解析 / トランスクリプトーム解析 / 植物 |
研究実績の概要 |
今年度は、研究対象植物であるホンモンジゴケの金属元素耐性等の形質の理解ためのゲノム情報基盤の構築を次のように行った。ドラフトゲノム配列の構築に際し、ホンモンジゴケのゲノムサイズをフローサイトメトリで推定した。ドラフトゲノム配列の構築には、Pacific Biosciences社のPacBio RS IIシークエンサ由来の配列データを使用した。ドラフトゲノム配列の構築するため、解析手順を検討し、次に記す手順でゲノムドラフト配列の構築を行った。獲得したゲノム配列データのエラーを修正し、アセンブルソフトウェアCanuを使用してゲノム連結配列データ(contigs)を作成した。その結果、約1億6千万塩基のアセンブリ(app. 2,700 contigs)を得た。さらにソフトウェアQuiver、FinisherSCを使用し、得られたゲノム連結配列データを評価、改善し、ソフトウェアSSPACE-LongReadsとPBJelly2を使用し、約1億5千万塩基(app. 900 scaffolds)のドラフトゲノム配列を構築した。得られたドラフトゲノム配列上にコートされている遺伝子領域を同定するため、生育環境などが異なるホンモンジゴケ植物体からRNAを抽出し、そのRNAの配列決定を行った(RNA-Seq)。12種のRNAサンプル由来の配列データを先のドラフトゲノム配列へマップしたところ、いずれのサンプルでも97%以上のRNA配列がドラフトゲノム配列に対応した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ドラフトゲノム配列決定、各種生育環境下のコケ植物体由来のRNA-Seqの実施など、当初の計画通りに研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
金属耐性を示すコケ植物を理解するための研究基盤は概ね準備できた。比較解析を効果的に行うため、比較解析対象にすべき近縁種のゲノムサイズの見積もり、表現形質の確認等を早期に実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していたゲノム配列決定の方法について、解析手法および得られる解析データ品質の面から検討した結果、当初計画に含めていたショートリードシークエンサを用いずにDNA配列決定を実施することが適切と判断したため。
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次年度使用額の使用計画 |
イルミナ社のショートリードシークエンサとパシフィックバイオサイエンス社のロングリードシークエンサを用いてゲノム配列を決定し、複合的な配列アセンブルを行う計画を改め、新酵素が開発されたパシフィックバイオサイエンス社のロングリードシークエンサ由来の配列データのみを用いて、各植物種のドラフトゲノム配列構築を行う。
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