研究成果の概要 |
無機ヒ素は体内に取り込まれると、遺伝子発現制御に関わるDNAメチル化などに影響を与え、健康被害を及ぼすが、小児や妊婦などへの影響は明らかではない。我々は、パキスタンのヒ素汚染地帯から採取された食品サンプルと母子由来末梢血ゲノムDNAサンプルを用いて、子供と母親の無機ヒ素摂取量とDNAメチル化への影響の関連を調べた。無機ヒ素摂取量の高いグループにおいては、肺がんに関連している遺伝子(HOXB5, HOXB9, POLD4など)のプローモーター領域のメチル化が低下していることが見出された。化学物質等に敏感な小児や妊婦では、無機ヒ素によりDNAメチル化が変化することで健康影響が出る可能性がある。
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