研究課題
本研究では、(1)シングルセルRNA-seqによって、細胞分化過程で遷移する遺伝子発現を擬似的にリアルタイムで観察し、(2)細胞分化の分岐点を同定することで、細胞の多様性を生み出す細胞の運命決定のメカニズムを明らかにすることを目的としている。本年度は、iPS細胞から心筋細胞へ分化する過程で変動する遺伝子発現のダイナミクスをシングルセルレベルで解析した。具体的には、iPS細胞から心筋細胞へ分化する各分化状態の細胞を8タイムポイントで回収し、各々で20細胞以上のシングルセルに対してRNA-seqを実施した。そして、各細胞における遺伝子発現状態を主成分分析することで、各細胞の分化状態を規定することを可能にした。その結果、心筋への運命決定に寄与する候補転写因子を同定し、その転写因子が制御する下流の遺伝子発現ネットワークを明らかにした。さらに、ATAC-seq(Assay for Transposase-Accessible Chromatin with high-throughput sequencing)で実施し、その転写因子の結合サイトのクロマチン状態がオープンになっていることを確認した。同様の実験をiPS細胞から血液細胞や肝細胞へ分化する系でも実施した。
2: おおむね順調に進展している
本研究では、(1)シングルセルRNA-seqによって、細胞分化過程で遷移する遺伝子発現を擬似的にリアルタイムで観察し、(2)細胞分化の分岐点を同定することで、細胞の多様性を生み出す細胞の運命決定のメカニズムを明らかにすることを目的としている。本年度は、iPS細胞から心筋細胞へ分化する過程で変動する遺伝子発現のダイナミクスをシングルセルレベルで解析した。具体的には、iPS細胞から心筋細胞へ分化する各分化状態の細胞を8タイムポイントで回収し、各々で20細胞以上のシングルセルに対してRNA-seqを実施した。そして、各細胞における遺伝子発現状態を主成分分析することで、各細胞の分化状態を規定することを可能にした。その結果、心筋への運命決定に寄与する転写因子を同定し、その転写因子が制御する下流の遺伝子発現ネットワークを明らかにした。さらに、ATAC-seq(Assay for Transposase-Accessible Chromatin with high-throughput sequencing)で実施し、その転写因子の結合サイトのクロマチン状態がオープンになっていることを確認した。同様の実験をiPS細胞から血液細胞や肝細胞へ分化する系でも実施した。このように、当初の予定であるシングルセルRNA-seq及びクロマチンアクッセッシビリティ解析を行ったため、計画通りであると判断した。
本年度、同定した心筋細胞への分化を規定する候補転写因子に対するChIP-seqを行い、その転写因子が制御する遺伝子発現ネットワークの詳細を明らかにする。さらにsiRNAによって当該転写因子の発現抑制が心筋分化に与える影響を評価する。さらに心筋への分化から逸脱した細胞が特異的に示す遺伝子発現を明らかにする。
2015年度に予定していた実験の一部(血液細胞への分化)を2016年度に実施することにしたため。
2015年度に実施する予定であった血液細胞への分化実験に使用する。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 5件)
Stem Cell Reports
巻: 4 ページ: 561-8
10.1016/j.stemcr.2015.02.010
Stem Cells Transl Med.
巻: 4 ページ: 333-8
10.5966/sctm.2013-0172