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2015 年度 実施状況報告書

シングルセル遺伝子発現解析による細胞運命決定のメカニズム解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K06921
研究機関京都大学

研究代表者

渡辺 亮  京都大学, iPS細胞研究所, 助教 (60506765)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードシングルセル解析 / RNA-seq / ATAC-seq
研究実績の概要

本研究では、(1)シングルセルRNA-seqによって、細胞分化過程で遷移する遺伝子発現を擬似的にリアルタイムで観察し、(2)細胞分化の分岐点を同定することで、細胞の多様性を生み出す細胞の運命決定のメカニズムを明らかにすることを目的としている。本年度は、iPS細胞から心筋細胞へ分化する過程で変動する遺伝子発現のダイナミクスをシングルセルレベルで解析した。具体的には、iPS細胞から心筋細胞へ分化する各分化状態の細胞を8タイムポイントで回収し、各々で20細胞以上のシングルセルに対してRNA-seqを実施した。そして、各細胞における遺伝子発現状態を主成分分析することで、各細胞の分化状態を規定することを可能にした。その結果、心筋への運命決定に寄与する候補転写因子を同定し、その転写因子が制御する下流の遺伝子発現ネットワークを明らかにした。さらに、ATAC-seq(Assay for Transposase-Accessible Chromatin with high-
throughput sequencing)で実施し、その転写因子の結合サイトのクロマチン状態がオープンになっていることを確認した。同様の実験をiPS細胞から血液細胞や肝細胞へ分化する系でも実施した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、(1)シングルセルRNA-seqによって、細胞分化過程で遷移する遺伝子発現を擬似的にリアルタイムで観察し、(2)細胞分化の分岐点を同定することで、細胞の多様性を生み出す細胞の運命決定のメカニズムを明らかにすることを目的としている。本年度は、iPS細胞から心筋細胞へ分化する過程で変動する遺伝子発現のダイナミクスをシングルセルレベルで解析した。具体的には、iPS細胞から心筋細胞へ分化する各分化状態の細胞を8タイムポイントで回収し、各々で20細胞以上のシングルセルに対してRNA-seqを実施した。そして、各細胞における遺伝子発現状態を主成分分析することで、各細胞の分化状態を規定することを可能にした。その結果、心筋への運命決定に寄与する転写因子を同定し、その転写因子が制御する下流の遺伝子発現ネットワークを明らかにした。さらに、ATAC-seq(Assay for Transposase-Accessible Chromatin with high-
throughput sequencing)で実施し、その転写因子の結合サイトのクロマチン状態がオープンになっていることを確認した。同様の実験をiPS細胞から血液細胞や肝細胞へ分化する系でも実施した。このように、当初の予定であるシングルセルRNA-seq及びクロマチンアクッセッシビリティ解析を行ったため、計画通りであると判断した。

今後の研究の推進方策

本年度、同定した心筋細胞への分化を規定する候補転写因子に対するChIP-seqを行い、その転写因子が制御する遺伝子発現ネットワークの詳細を明らかにする。さらにsiRNAによって当該転写因子の発現抑制が心筋分化に与える影響を評価する。さらに心筋への分化から逸脱した細胞が特異的に示す遺伝子発現を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

2015年度に予定していた実験の一部(血液細胞への分化)を2016年度に実施することにしたため。

次年度使用額の使用計画

2015年度に実施する予定であった血液細胞への分化実験に使用する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 5件)

  • [雑誌論文] Modeling the early phenotype at the neuromuscular junction of spinal muscular atrophy using patient-derived iPSCs2015

    • 著者名/発表者名
      Yoshida M, Kitaoka S, Egawa N, Yamane M, Ikeda R, Tsukita K, Amano N, Watanabe A, Morimoto M, Takahashi J, Hosoi H, Nakahata T, Inoue H, Saito MK.
    • 雑誌名

      Stem Cell Reports

      巻: 4 ページ: 561-8

    • DOI

      10.1016/j.stemcr.2015.02.010

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Pluripotent cell models of fanconi anemia identify the early pathological defect in human hemoangiogenic progenitors.2015

    • 著者名/発表者名
      Suzuki NM, Niwa A, Yabe M, Hira A, Okada C, Amano N, Watanabe A, Watanabe K, Heike T, Takata M, Nakahata T, Saito MK.
    • 雑誌名

      Stem Cells Transl Med.

      巻: 4 ページ: 333-8

    • DOI

      10.5966/sctm.2013-0172

    • 査読あり
  • [学会発表] シングルセル解析によって可視化する臓器の発生過程2016

    • 著者名/発表者名
      渡辺 亮
    • 学会等名
      第64回日本輸血・細胞治療学会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2016-04-28 – 2016-04-30
    • 招待講演
  • [学会発表] 臓器の発生過程を可視化するシングルセル遺伝子発現解析2015

    • 著者名/発表者名
      渡辺 亮
    • 学会等名
      第38回分子生物学会年会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-04
  • [学会発表] シングルセル遺伝子解析が明らかにするヒト発生過程における細胞運命の決定2015

    • 著者名/発表者名
      渡辺 亮
    • 学会等名
      第67回日本生物工学会大会
    • 発表場所
      鹿児島
    • 年月日
      2015-10-26 – 2015-10-28
    • 招待講演
  • [学会発表] The Single Cell Epigenetics Dissects Cell Fate Specification2015

    • 著者名/発表者名
      Akira Watanabe
    • 学会等名
      Top Global University Japan, 1st Joint Symposium of International Partners
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2015-10-02 – 2015-10-03
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Single Cell Transcriptome Analysis Dissects Cell Fate Specification2015

    • 著者名/発表者名
      Akira Watanabe
    • 学会等名
      第53回生物物理学会年会
    • 発表場所
      金沢
    • 年月日
      2015-09-13 – 2015-09-15
    • 招待講演
  • [学会発表] 臓器の発生過程を可視化するシングルセル遺伝子解析2015

    • 著者名/発表者名
      渡辺 亮
    • 学会等名
      第26回臨床口腔病理学会総会学術集会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2015-07-29 – 2015-07-31
    • 招待講演

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公開日: 2017-01-06  

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