研究実績の概要 |
1. 微小培養環境下での細胞の液性因子感受性について詳細に調べるための細胞培養デバイスを設計, 作成し, 実際に神経系の細胞に分化可能な培養細胞株SH-SY5YにWnt3aシグナルを作用させ, 1マイクロメートルあたり2.5 - 5.0 pM 程度の濃度勾配を細胞が感知できることを突き止めた. これによって, 細胞の運命制御において, 分化する側の細胞と増殖を続ける側の細胞を制御したい場合に, どのような環境を用意することで制御できるか見込みを立てることに成功した. この内容を国際会議で口頭発表した. また, FEBS Open Bioにて学術論文として出版した. [1] Hiraiwa,T. et al. FEBS Open Bio (2018) 8:1920-1935) [2] Hiroi, N. Keio University International Symposium on Advanced Technologies for Mechano-biology and Regenerative Medicine.
2. 神経芽腫細胞の移動能力に対する剪断応力の影響について, 概要環境の剪断応力条件をシステマティックに振りながらテストするデバイスを設計, 作成し, 神経芽腫細胞IMR2を培養し, 剪断応力の影響で細胞の遊走能が上昇し, その仕組みとしてがん細胞の転移・浸潤能を司るMYCN遺伝子が関与している可能性を示した. この研究により, 細胞が自ら移動することによって位置を変える際の制御機構に, 流れの影響があることを示した. この内容をJournal of Royal Society Interfaceにおいて, 学術論文として発表した. [2] Hiraiwa, T. et al. J. R. Soc.Interface (2019) 16: 20180934.
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