研究実績の概要 |
導入DNAのサイズに制限がないヒト人工染色体(Human Artificial Chromosome, HAC)ベクターとCRISPR/Cas9システムを利用することによって、1. 巨大ゲノム領域のHACベクターへのクローニング、2.巨大ゲノム領域搭載HACベクターの目的細胞へのトランスファーまでを僅か2ヶ月で完了させる方法を確立することを目標とした。方法として、巨大ゲノム領域挿入のために部位特異的組換えサイトであるVLoxサイトとSLoxサイトが挿入されたHACベクター保有ヒト細胞において、CRISPR/Cas9システムを利用して、制御領域を全て含んだ数百kb以上の目的の標的遺伝子(GOI)の両側にVLoxサイトとSLoxサイトを挿入したのち、VCre酵素とSCre酵素を同時に発現させて、部位特異的組換えにより、GOIをHACベクターへ挿入した。CRISPR/Cas9システムを利用した反応条件の最適化により、GOIの両側へのVLoxサイトとSLoxサイトの挿入効率を上げることができた。しかし、その効率は、細胞種毎に大きく異なった。その後のHACベクターへの目的遺伝子の挿入では、細胞種間での効率には差が少なく、総DNA長が600kb以上のGOIについても成功した。GOI搭載HACベクターの、他細胞へのトランスファーには、試した細胞種全てにおいて成功した。ホスト細胞種を選択することにより、1. 巨大ゲノム領域のHACベクターへのクローニング、2.巨大ゲノム領域搭載HACベクターの目的細胞へのトランスファーまでの工程を2ヶ月で完了させることは十分可能であった。
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