世界農業遺産に登録された静岡県の「茶草場」の生物多様性保全を目的に、「地域内の多様性(α多様性)」と「地域間の多様性(β多様性)」に着目して、「①農業形態の異なる半自然草地」と「②管理方法の異なる茶草場」の植物相を比較した。その結果、茶栽培以外にも、ジャガイモ、シコクビエ、サトイモ、シイタケ、キヌサヤエンドウの伝統的な栽培のために草地を維持している例が確認された。また、同じ茶草場であっても、大井川上流部の山間地と下流部の丘陵地では管理方法が異なり、構成する植物種も異なった。このことから、茶草場の生物多様性を保全する上では、地域間の農法の多様性を維持することが重要であると考えられる。
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