研究課題/領域番号 |
15K06934
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
平井 規央 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (70305655)
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研究分担者 |
矢後 勝也 東京大学, 総合研究博物館, 助教 (70571230)
石井 実 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (80176148)
坂本 佳子 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 研究員 (80714196) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | シルビアシジミ / マイクロサテライト / 寄生性天敵 / ヒメシルビアシジミ / 遺伝的多様性 |
研究実績の概要 |
兵庫県伊丹市で採集した成虫から抽出した全DNAを用いて次世代シークエンサーによる解析を行い、得られたデータからマイクロサテライトを含む配列の探索を行った。その結果、多数のマイクロサテライトを含む領域が発見された。そのうちの32座位について、プライマーを設計し、実際の標本を用いて増幅を行った。現在、前半の16プライマーについて解析を行い、zo61167、zo112834、zo70613、zo126426、zo70727の5つの座で有効な増幅が確認されている。zo61167では、比較的多型が多く見られ、地域による差と考えられる変異も見られた。近縁のヒメシルビアシジミについてもいくつかのプライマーで有効な増幅が認められた。 本種のメタ個体群構造と遺伝的多様性の関係を検証するために、大阪府豊中市と兵庫県伊丹市にまたがる大阪国際空港(伊丹空港)周辺において、調査地の選定を行った。本種の主要な生息地となっている空港からの距離が0~5kmの間で、約10カ所の生息地を調査候補とした。これらの生息地にはいずれもシロツメクサがみられるが、ミヤコグサやセイヨウミヤコグサがみられる場所も含まれている。 これらの他、沖縄県、石川県でも追加のサンプリングを行い、石川県個体群では、メタ個体群構造に影響を与えると考えられる寄生性天敵を複数発見した。これらの寄生性天敵は、いずれも越冬幼虫の飼育によって羽化が確認されたもので、コマユバチ科、ヒメバチ科、ヤドリバエ科にそれぞれ属していると考えられた。 研究内容の一部は、2016年9月に行われたXXV International Congress of Entomology (ICE 2016)で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
次世代シークエンサーの解析結果が順調で、多くのマイクロサテライトマーカーについて実際に増幅が確認され、多型が認められた。野外調査についても、生息地の探索や寄生性天敵の採集が出来た。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きプライマーの増幅を確認し、十分なマーカーが得られた時点で、多くの個体の解析を開始する。野外調査では、大阪府、石川県、和歌山県などで追加のサンプリングを行い、メタ個体群構造と遺伝的多様性の関係を明らかにする。個体数が比較的安定しているシルビアシジミについても同様の解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度はマイクロサテライトマーカーの開発を重点的に行い、野外調査を後回しにしたため、旅費での支出が少なかった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、千葉県、石川県、大阪府、兵庫県、和歌山県、沖縄県などで野外調査を実施し、前年度に支出の少なかった旅費について計画的に使用する予定である。
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