研究課題
シルビアシジミの生息調査を兵庫県(伊丹市、洲本市、加東市)、大阪府、石川県で行い、サンプリングも行った。兵庫県と大阪府に境にある伊丹空港周辺では、定期的に詳細な野外調査を行い、成虫は5~10月に確認された。空港に隣接する生息地では、個体数密度が高く、1.5 km以上離れた生息地では密度は低かった。前年度までに開発したマイクロサテライトマーカーを用いて、兵庫県、大阪府、石川県、徳島県、島根県、長崎県、宮崎県、鹿児島県、千葉県、栃木県で採集された本種について、実際の解析を行った。使用した15塩基座すべてで多型が確認され、確認されたアリル数は2(Zo70613、Zo146891、Zo112834)~15(Zo61167)であり、ヘテロ接合度の期待値He、ヘテロ接合度の観察値Hoはそれぞれ0.125~0.675、0.125~0.625の範囲であった。遺伝的多様性は兵庫県の伊丹空港周辺個体群で高く、栃木県や石川県では低かった。PCoA解析の結果では、石川県は他の個体群と遺伝的に大きく異なっていた。石川県の個体群を除いてPCoA解析を行った結果、本種個体群は遺伝的に離れた3つのグループ(関西と徳島県のグループ、千葉県と島根県と九州のグループ、栃木県のグループ)に分かれた。さらに、伊丹空港周辺の生息地間での比較では、地理的距離と遺伝的距離の間に相関関係は見られなかった。以上の結果から、本種の一部の個体群では生息域の分断・孤立化がすすみ、遺伝的多様性の喪失が起こっていると考えられる。伊丹空港周辺の生息地間では、遺伝的分化や遺伝的多様性の違いが見られず、季節的な遺伝構造の変化も検出されなかった。伊丹空港周辺では、本種個体が生息域間を頻繁に移動・分散することで高い遺伝的多様性が保たれていると考えられる。
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