研究課題/領域番号 |
15K06936
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
松本 厚子 北里大学, 感染制御科学府, 講師 (20300759)
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研究分担者 |
中島 琢自 北里大学, 北里生命科学研究所, 准教授 (40526216)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 植物内生放線菌 / 共培養 / 微生物資源 |
研究実績の概要 |
申請者らは、植物の根から多数の放線菌が分離されその中には今までに報告例がない分類群の放線菌もまた多数含まれること、分離できているのはそのほんの一部にすぎないことも明らかにしてきた。 そこで、今までに分離培養できていない放線菌群を資源として活用するために、植物培養細胞およびその培養液を用いた植物モデル系を構築し新しい分離法を開発することとした。植物細胞には培養が容易な植物培養細胞Nicotiana tabacum L. BY-2を用い、植物と密接に関連する菌株の共培養法による分離を目指した。植物細胞は液体培養で旺盛に生育し、寒天培地上での培養でも良く生育するが、専用の培地は 3% sucrose を含む富栄養培地であるので分離には適さないため、共培養の方法を検討した。その結果、培地には希釈した植物培養用培地および通常放線菌の分離に用いる培地の2種類を用い、培養法として植物細胞を培地に混釈する方法と寒天培地上で培養する方法の2法を用いることにした。植物細胞の代謝産物による影響を調べるために細胞培養液の分離培地への添加を検討したが、培地中の sucrose の分離培地への影響が大きいため検討を後回しにすることとした。 上記方法に基づき、表面殺菌処理した植物の根のサンプルからの放線菌の分離を試みた。しかし、植物細胞の添加により放線菌以外の生育の早い細菌の増殖が促進され目的とする放線菌の分離が困難となった。そこで、前処理法を再検討し、放線菌が乾燥に強いことを利用して、表面殺菌した植物試料に60℃、1時間処理によって放線菌以外の細菌を除去できる事がわかった。現在、この方法での植物内生菌の分離を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
植物細胞培養用の培地と放線菌の分離培地の違いおよび放線菌以外の生育の早い細菌の生育により分離法の構築が難航したが、すでに分離法を確立したので、現在複数の植物サンプルを用いて分離を進めており、分離株の解析も進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
分離法がほぼ確立したので、今後改良を加えながら分離対象の試料を増やし分離を実施する。分離株は16S rRNA 遺伝子解析により簡易同定し、植物細胞の有無による分離株を比較する。新規性が高い株については分類研究を行う。また、植物細胞を含む培地のみから得られた分離株および植物細胞を含む培地のみで生育する株については、その機能解析のために植物を使った生育促進あるいは生育阻害効果を調べる。これについては、実験室内で可能な植物内生放線菌による生育制御活性試験法を植物を用いて構築中である。 また、分離菌株は、有用物質の探索源として活用し資源として活用するために培養液中に生産される二次代謝産物解析を実施し、有用物質の取得につなげる。
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