研究課題/領域番号 |
15K06945
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
行木 信一 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (80302959)
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研究分担者 |
畑田 出穂 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (50212147)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 翻訳停滞解消因子 / ミトコンドリア / リボソーム |
研究実績の概要 |
蛋白質合成(翻訳)の滞りの解消機構は生物種によって異なる。ミトコンドリアの翻訳系では,2つの翻訳停滞解消因子ICT1及びC12orf65蛋白質が必須であることを示してきたが,どのような翻訳停滞状態が生じ,それに対し2つの因子がどのように役割分担し機能しているのかは未知である。一方,ヒトではC12orf65遺伝子に変異が起こると,その位置により病態の異なるミトコンドリア病を引き起こす。本研究の目的は,①リボソームプロファイリングによりICT1あるいはC12orf65依存的に解消される翻訳停滞解消状態(配列)を明らかすることで,「翻訳停滞解消機構」の全容を示し,②CRISPR/Casゲノム編集法によりC12orf65の欠損領域が異なるマウスを複数作製し解析することで,解消機構不全によるミトコンドリア病の病態発現機構を解明することである。 今年度は,CRISPR/Casゲノム編集法によるC12orf65欠損マウスを作製を集中的に行った。CRISPR/Cas法とは,2本鎖DNA切断とDNA修復のエラーを利用したゲノム編集で,目的の遺伝子のDNA2本鎖切断後に偶発的に起こる塩基の挿入欠失によるフレームシフト変異により,正常な蛋白質発現を不可能にしている。すでに報告されているミトコンドリア病患者で起きているフレームシフトに相当する変異を,マウスゲノムで起こさせるようにgRNAを設計した(3種類)。現在,前段階として,マウスのES細胞に対してこれらのgRNAがゲノム編集を起こしているか確認した。その結果,設計した一つのgRNA配列が有効に機能していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ノックアウトマウスを作製するゲノム編集法の過程で,培養細胞の段階は,1つのgRNA配列ではあるが成功したと考えられるので,(2)と判断した。それ以外の実験が進まなかった点がマイナス評価である。
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今後の研究の推進方策 |
ゲノム変異が異なる複数のマウスを作製を目標としているので,gRNAの配列を変更し再度ES細胞を使ってゲノム編集を試みる。成功したもの関しては,共同研究者と共にマウスの受精卵へのマイクロインジェクションを試み,ノックアウトマウスの作製を行う。 また,他の予定されている実験(二次元電気泳動,リボソームプロファイリング)を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
設備備品としてCO2インキュベーターを計上していたが,共同にて別途早期に購入されたので,本費用で購入する必要がなくなってしまったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度,消耗品として使用する予定。
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