研究課題/領域番号 |
15K06961
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
米沢 直人 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80212314)
|
研究分担者 |
柳田 光昭 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80365569)
|
研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2018-03-31
|
キーワード | 糖タンパク質 / 受精 |
研究実績の概要 |
哺乳類卵子を包む透明帯は受精時に精子と種特異的に結合し、受精成立に伴い結合能を失う。この機能は種の保存に必須であるが機構はまだ解明されていない。我々はブタおよびウシを研究対象とし、この機構解明に取り組んでいる。特に本研究課題ではバキュロウイルス-Sf9細胞発現系を用いた組換えタンパク質作製により透明帯構成タンパク質の精子結合部位同定並びに構成タンパク質間の相互作用部位同定を進めている。ウシ透明帯構成タンパク質はZP2,ZP3,ZP4の3種類であるが、ZP3とZP4との複合体が精子結合能を有する。ZP3の一連の断片を作製し、ZP4との相互作用の有無並びに複合体の精子結合能を調べた。その結果、ZP3のN末端から156番目~160番目の5アミノ酸残基から成る領域がZP4との相互作用に必要であることがあきらかになった。この相互作用領域近傍に付加するZP3のN結合型糖鎖が精子結合能に必要であることもあきらかになった。しかし、糖鎖が直接精子と結合するのか、それとも構造安定化などタンパク質の機能に影響を与えるのか、など糖鎖の機能については不明である。ここまでの内容は学会並びに専門誌で報告した。ウシZP4をプラスチックプレートに吸着させるとZP3がなくても精子結合能を示すことを見出した。吸着によりZP4が多価化することが重要であると考えている。この新規手法によりZP4の精子結合部位のうち1カ所はN末端領域に存在することがあきらかとなった。興味深いことにブタZP4では対応する領域がタンパク質成熟の過程で消失しており、ブタとウシとの精子結合機構が異なることが示唆された。この内容は学会で報告した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究費配分が11月であったため、当初の実施計画を進める時間が足りなかった。ZP3/ZP4複合体の精子結合部位同定並びに相互作用部位同定はほぼ計画通り進んだと思われる。しかし、組換えタンパク質の収量が低く大量精製が困難であり、複合体の構造解析が思うように進まなかった。一方、プラスチックプレートに組換えタンパク質を吸着させるだけで精子結合能を示す、という単純ではあるが意外な結果が得られ、精子結合部位同定を他グループとは異なる独特の方法で進めることができる状況を得ることに成功した。
|
今後の研究の推進方策 |
平成27年度の成果に基づき、ZP3とZP4との相互作用部位をアミノ酸残基レベルで同定するとともに、精子結合活性を保持している複合体の四次構造解析を行う。ZP4のN末端領域の精子結合部位をアミノ酸残基レベルで同定するとともに、精子側結合因子の同定を進める。
|