研究課題/領域番号 |
15K06989
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
坪井 滋 弘前大学, 医学研究科, 研究員 (20526727)
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研究分担者 |
大山 力 弘前大学, 医学研究科, 教授 (80282135)
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研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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キーワード | 腫瘍免疫 / 細胞傷害性Tリンパ球(CTL) / 膀胱癌 / リンパ節転移 / O-グリカン |
研究実績の概要 |
交付期間を通じて以下の(1)~(5)の研究を計画した。(1)O-グリカン修飾の変化によるHLA-A24分子の細胞表面表出量の比較(2)O-グリカン修飾の変化によるHLA-A24分子の細胞内輸送過程の解析(3)O-グリカン修飾の変化によるHLA-A24分子と抗原ペプチドとの親和性比較(4)C2GnT発現抑制膀胱癌細胞によるCTL腫瘍免疫抵抗性のin vivoにおける検討(5)HLA-A24分子のO-グリカンの構造解析。このうち、平成28年度以降の研究として(3)~(5)を計画していた。この中の(3)、および、(4)についての進捗状況を述べる。 (3)HLA-A24のC末端(細胞内領域)にFLAGのタグを付け、コア2O-グリカンで修飾されたHLA-A-FLAG-C2とコア2O-グリカン修飾が低下したHLA-A24-FLAGをそれぞれ調製した。各HLA-A24のMAGE3由来癌抗原ペプチドに対する親和性をBIACOREを用いて精密に比較した結果、コア2O-グリカン修飾によって、HLA-A24とペプチドとの親和性は変化しないことが示された。この結果により、コア2O-グリカン修飾は、HLA-A24の細胞表面への表出量に影響を与えるという機構が強く支持された。 (4)YTS、および、YTS-C2KDを、特異的CTLとともにNOGマウス(免疫不全マウス T、B、NK細胞全てを欠く)の尾静脈から注入し、3週間の肺転移を比較した。その結果、YTSよりもYTS-C2KDの方が高い肺転移性を示した。このことから、C2GnTは、膀胱癌細胞に、CTLの攻撃から逃避する能力を与えていることが強く示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付期間を通じて以下の(1)~(5)の研究を計画した。(1)O-グリカン修飾の変化によるHLA-A24分子の細胞表面表出量の比較(2)O-グリカン修飾の変化によるHLA-A24分子の細胞内輸送過程の解析(3)O-グリカン修飾の変化によるHLA-A24分子と抗原ペプチドとの親和性比較(4)C2GnT発現抑制膀胱癌細胞によるCTL腫瘍免疫抵抗性のin vivoにおける検討(5)HLA-A24分子のO-グリカンの構造解析。このうち、平成28年度以降の研究計画として掲げた(3)~(5)の、(3)、(4)の2つの実験を行った。平成27年度の結果を合わせて、(1)~(4)の4つの実験を行い、ほぼ予想通りの結果が得られた。このことから、おおむね順調に進捗していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
交付期間を通じて以下の(1)~(5)の研究を計画した。(1)O-グリカン修飾の変化によるHLA-A24分子の細胞表面表出量の比較(2)O-グリカン修飾の変化によるHLA-A24分子の細胞内輸送過程の解析(3)O-グリカン修飾の変化によるHLA-A24分子と抗原ペプチドとの親和性比較(4)C2GnT発現抑制膀胱癌細胞によるCTL腫瘍免疫抵抗性のin vivoにおける検討(5)HLA-A24分子のO-グリカンの構造解析。このうち、現在のところまだ結果の得られていない(5)を行う。さらに、既に得られた(1)~(4)の実験結果を見直し、補強する実験があれば行う。さらに、平成29年度に購入する顕微鏡用デジタルカメラを用いて、研究計画(2)の実験の内、未着手の実験を行い、結果を得る。すべての研究計画を完遂させた後に論文発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に購入を計画していた顕微鏡用デジタルカメラ(日本ローパー社CoolSNAP KINO)が、平成27年に販売停止になってしまったため、代替機種の選定と、研究計画遂行の順番の一部変更に時間を要したことが理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
当初購入を計画していた顕微鏡用デジタルカメラと同等の性能を持つ代替機種(オリンパスのDP-74)の選定を終えたので、本機種を購入し、初年度研究計画(2)に記したHLA-A24の細胞内輸送過程の解析実験の内、初年度に行えなかった部分の実験を行うことを計画している。
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