研究課題
次の(1)から(5)の研究が計画されていた。(1)O-グリカン修飾の変化によるHLA-A24分子の細胞表面表出量の比較 (2) O-グリカン修飾の変化によるHLA-A24分子の細胞内輸送過程の解析(3) O-グリカン修飾の変化によるHLA-A24分子と抗原ペプチドとの親和性比較 (4) C2GnT発現抑制膀胱癌細胞のin vivoにおける転移能の検討(5) HLA-A24分子のO-グリカンの構造解析。それぞれについて行った実験の結果を述べる。(1)C2GnT発現を抑制するとHLA-A24分子の細胞表面表出量は低下した。(2)C2GnT発現を抑制するとHLA-A24分子は、速やかに細胞内に取り込まれ、エンドソーム経由でリソソームに入り、分解された。(3) HLA-A24のC末端にFLAGのタグを付け、コア2O-グリカンで修飾されたHLA-A-FLAG-C2と修飾されていないHLA-A24-FLAGをそれぞれ調製した。各HLA-A24の抗原ペプチドに対する親和性をBIACOREを用いて比較した結果、コア2O-グリカン修飾は、HLA-A24とペプチドとの親和性に影響しないことが示された。(4)NOGマウスを用いたin vivoの実験の結果、YTSよりもYTS-C2KDの方が高い肺転移性を示した。(5)トマトレクチンを用いた実験の結果から、HLA-A24-FLAG-C2のO-グリカンには、Galβ1-4GlcNAcの繰り返し構造から成るポリラクトサミン鎖が付加していることがわかった。細胞表面では、このポリラクトサミン鎖にガレクチン-3が結合し、別の細胞表面分子との間に分子格子(Molecular Lattice)を形成していた。C2GnT発現が低下した癌細胞では、この分子格子形成が起きていなかった。このため、HLA-A24の細胞表面での表出量が著しく低下していた。
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Journal of Biochemistry
巻: 161(6) ページ: 479-492
10.1093/jb/mvw096