研究実績の概要 |
前年度までに開発確立した糖鎖の網羅的解析手法を用いることにより、ゼブラフィッシュの胚発生時期における糖鎖構造の変遷を網羅的に分析することに成功し、N-結合型糖鎖に関する部分を査読付き論文として発表した(Ken Hanzawa, Noriko Suzuki, Shunji Natsuka. Structures and developmental alterations of N-glycans of zebrafish embryos. Glycobiology, 27 (3) 228-245 (2017))。さらに、既に解析を終えているO-結合型糖鎖と遊離糖鎖に関する論文も執筆中である。一方、数種類の糖タンパク質標品や動物組織の網羅的糖鎖構造解析を行い、糖鎖構造と発現量に関するデータを蓄積することに成功した。それらのデータを二次元糖鎖マップという形式に編集してインターネット上で公開した。さらに、標準糖鎖の糖鎖マップデータの件数を大幅に増加したデータベースの改訂版を公開した。 糖鎖アトラスの簡易版の作成を目的として、ヤツメウナギの各臓器から糖鎖を調製して網羅的に解析を行い、各臓器の糖鎖マップを作成した。それぞれの臓器の糖鎖マップは、特徴的な構造と発現量を示しており、この方法によって有用性の高いデータベースを構築できることを実地で示すことができた。現在この解析結果に関する論文も執筆中である。今回作成した糖鎖アトラスは部位数が限られた簡易版であるが、本研究において確立した手法で大規模な解析を行い部位数を桁違いに増やせば、さらに有用性の高いデータベースを作成できることが確かめられた。
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