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2017 年度 実績報告書

翻訳の速度論的制約に立脚した全く新しい小胞体膜挿入機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K07000
研究機関神戸大学

研究代表者

山本 泰憲  神戸大学, 医学研究科, 准教授 (30467659)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード小胞体 / 膜挿入装置 / 膜変形タンパク質 / ペルオキシソーム形成因子 / reticulon / テイルアンカー型タンパク質
研究実績の概要

分泌経路上の膜タンパク質はまず小胞体膜に挿入され、その後適切な膜系へと輸送されることから、小胞体膜挿入機構を理解することは大変重要な課題である。主要な膜挿入経路として膜透過装置トランスロコンによる翻訳と共役した経路がある。本研究では、膜タンパク質の「翻訳速度」に着目し、速度論的な制約からトランスロコンを経由できない膜タンパク質の膜挿入を解析することで、未知の小胞体膜挿入機構の解明を試みた。その結果、前年度までに、ペルオキシソーム形成因子PEX19が速度論的制約下にある膜タンパク質の新生鎖に結合し、ペルオキシソーム形成因子PEX3と協力して膜タンパク質を翻訳後に小胞体膜へ挿入することを明らかにした。本年度は、PEX19-PEX3システムについてさらに解析を行い、以下の結果を得た。
PEX19は、reticulon homology domainを持つ小胞体膜変形タンパク質ファミリーの新生鎖を選択的に認識し、膜挿入していた。膜挿入されなかった新生鎖はプロテアソームで速やかに分解されていた。PEX19以外に新生鎖に結合するタンパク質として、トランスロコン経路で働くシグナル認識粒子のサブユニットSRP54及び、膜タンパク質の分解に関与するシャペロンBat3を同定した。
以上の結果から、小胞体膜変形タンパク質の新生鎖はBat3に認識されて膜挿入か分解かの選別が行われ、その後、PEX19に受け渡されてPEX3により小胞体膜へ挿入されると考えられた。このようなPEX19-PEX3システムによる翻訳後膜挿入経路は、翻訳の速度論的な制約のためにトランスロコンを経由することに失敗した小胞体膜変形タンパク質を膜挿入するためのバックアップ経路として存在していると考えられた。PEX19-PEX3システムによる膜挿入を作用点として、小胞体膜変形とペルオキシソーム生合成が協調している可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] The peroxisome biogenesis factors posttranslationally target reticulon homology domain-containing proteins to the endoplasmic reticulum membrane.2018

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto, Y. and Sakisaka, T.
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 8 ページ: 2322

    • DOI

      10.1038/s41598-018-20797-0.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] The number of the C-terminal transmembrane domains has the potency to specify subcellular localization of Sec22c.2017

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto, Y., Yurugi, C., and Sakisaka, T.
    • 雑誌名

      Biochem. Biophys. Res. Commun.

      巻: 487 ページ: 388-395

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2017.04.071.

    • 査読あり
  • [学会発表] ペルオキシソーム形成因子による小胞体膜変形タンパク質reticulonの翻訳後膜挿入機構2017

    • 著者名/発表者名
      山本泰憲,匂坂敏朗
    • 学会等名
      2017年度生命科学系学会合同年次大会(ConBio2017)
  • [学会発表] ユビキチンリガーゼ活性による小胞体の新しい形態調節機構2017

    • 著者名/発表者名
      梶保博昭,山本泰憲, 匂坂敏朗
    • 学会等名
      2017年度生命科学系学会合同年次大会(ConBio2017)
  • [学会発表] 小胞輸送調節タンパク質Sec22CはC末膜貫通領域の数により細胞内局在を制御する2017

    • 著者名/発表者名
      山本泰憲,萬木千聖,匂坂敏朗
    • 学会等名
      第64回 日本生化学会 近畿支部例会
  • [学会発表] 小胞体膜タンパク質による極長鎖脂肪酸合成の制御2017

    • 著者名/発表者名
      内田安則,山本泰憲, 出来宏晃, 匂坂敏朗
    • 学会等名
      第64回 日本生化学会 近畿支部例会
  • [学会発表] ユビキチンリガーゼによる小胞体の形態制御機構2017

    • 著者名/発表者名
      梶保博昭,姜 山、山本泰憲, 匂坂敏朗
    • 学会等名
      第64回 日本生化学会 近畿支部例会
  • [備考] 研究室ホームページ

    • URL

      http://www.med.kobe-u.ac.jp/membrd/

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公開日: 2018-12-17  

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