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2015 年度 実施状況報告書

酵素の細胞内局在調節機構の包括的解明-DGキナーゼを例として-

研究課題

研究課題/領域番号 15K07002
研究機関神戸大学

研究代表者

白井 康仁  神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (60263399)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードジアシルグリセロール / 細胞周期 / ホスファチジン酸 / チロシンリン酸化
研究実績の概要

ジアシルグリセロールキナーゼ(DGK)はジアシルグリセロール(DG)ホスファチジン酸(PA)に変換する脂質キナーゼである。DGとPAは共に脂質シグナルとして様々な酵素の活性を調節することから、DGKもまた生体内で重要な働きをしていると考えられている。本年度は、10種報告さている哺乳類のDGKサブタイプの中から、DGKalphaの発ガン及び癌の転移・浸潤に関与していると考えられる核-細胞質シャトリンリングのメカニズムについて調べた。DGKalphaは一般的な核移行シグナルは持たないが、C1ドメインは核に局在することや、C1ドメインに点変異を導入するとDGKalphaの核移行が消失することから、C1ドメインが核移行シグナルとして働くことがこれまでに分かっていた。一方、このC1ドメインにN末端領域(RVH-EF)を付加すると細胞質に局在するようになることから、C1ドメインとRVH-EF領域が直接相互作用することにより、C1ドメインの核移行シグナルとしての機能を阻害するのではないかと考えられた。そこで、C1ドメインとRVH-EF領域との相互作用をプルダウンアッセイにより調べたところ、直接相互作用することが明らかになった。また、この相互作用はC1ドメイン内に存在する218番目のチロシンがリン酸化されると強まり、C1ドメインの核以降シグナルとしての機能が弱められ、DGKalphaが細胞質に局在するようになることもわかった。さらに、核内DGKalphaの機能及びそのメカニズムを調べたところ、DGKalphaは核内でcyclin dependent kinase 12と相互作用することにより、G1/S期で細胞周期を停止させていることが判明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上述のように、C1ドメインとRVH-EF領域との相互作用に218番目のチロシンリン酸化が関与していることを明らかにし、さらに、核内DGKalphaの核内結合タンパク質としてでcyclin dependent kinase 12を同定することができたため。

今後の研究の推進方策

今後は、核内DGKalphaがどのようにして細胞周期を停止させるのかを明らかにするため、cyclin dependent kinase 12の機能とDGKalphaとの関係を調べる。また、他の結合タンパク質を同定し、DGKalphaの核ー細胞質シャトリングの全容を明らかにする。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] A novel diacylglycerol kinase α-selective inhibitor, CU-3, induces cancer cell apoptosis and enhances immune response2015

    • 著者名/発表者名
      1)Lui K, Kunii N, Sakuma M, Yamaki A, Mizuno S, Sato M, Sakai H, Kado S, Kumagai K, Kojima H, Okabe T, Nagano T, Shirai Y. and Sakane F
    • 雑誌名

      J lipid res

      巻: 57 ページ: 368-379

    • DOI

      10.1194/jlr.M062794

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ジアシルグリセロールキナーゼalphaの核-細胞質間シャトリングの生理的意義の解明2016

    • 著者名/発表者名
      渡辺真以, 木曽裕子, 上田修司, 山之上稔, 齋藤尚亮, 白井康仁
    • 学会等名
      農芸化学会関西支部例会(493回講演会)
    • 発表場所
      京都大学 学友会館
    • 年月日
      2016-02-06
  • [学会発表] チロシンリン酸化がジアシルグリセロールキナーゼalphaのドメイン間相互作用及び高次構造に与える影響2015

    • 著者名/発表者名
      脇阪昌明, 岩下智秋, 濱田大三, 祇園景子, 上田修司, 山之上稔, 鶴田宏樹, 白井康仁
    • 学会等名
      農芸化学会関西支部例会(492回講演会)
    • 発表場所
      神戸大学農学部
    • 年月日
      2015-12-05
  • [学会発表] ジアシルグリセロールキナーゼalphaの218番目のチロシンリン酸化はドメイン間相互作用と高次構造を変化させる2015

    • 著者名/発表者名
      脇阪昌明, 岩下智秋, 濱田大三, 祇園 景子, 上田修司, 山之上稔, 鶴田宏樹, 白井康仁
    • 学会等名
      BMB2015
    • 発表場所
      神戸国際会議場
    • 年月日
      2015-12-03
  • [学会発表] 細胞内ホスファチジン酸産生を時・空間的に解析できる簡便かつ新規な可視化プローブの開発2015

    • 著者名/発表者名
      沖本航, 中井寛子, 伊藤俊樹, 森田真也, 上田修司, 山之上稔, 白井康仁
    • 学会等名
      第57回日本脂質生化学会
    • 発表場所
      一橋大学一橋講堂
    • 年月日
      2015-05-29

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公開日: 2017-01-06  

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