研究実績の概要 |
ダイナミンは微小管結合タンパク質として発見されたものの、微小管に結合したダイナミンの機能は不明のままであった。本研究は、ダイナミンによる微小管ダイナミクスの制御機構を明らかにすることを目的としている。 【研究1 ダイナミン変異体を用いた微小管ダイナミクスの解析】 ダイナミンによる微小管制御に必要なドメインを明らかにするために,ダイナミン発現抑制HeLa細胞にダイナミンのドメイン欠失変異体を過剰発現させた。ダイナミン発現抑制により増加したアセチル化チューブリンは,GTPase, middle, plekstrin homology (PH), GTPase effector (GE)の各ドメイン欠失変異体の発現により減少しなかったが,プロリンリッチ (PR)ドメインの欠失変異体の発現により約50%減少した。以上の結果は,ダイナミンによる微小管制御にGTPase, middle, PH, GE の4つのドメインは必要であるが,PRドメインは必要でないことが示唆された。 【研究2 ダイナミンと微小管伸長端結合タンパク質の相互作用解析】 ダイナミンによる微小管制御に関与する微小管伸長端結合タンパク質を同定するために,微小管を安定化するダイナミン変異体(555delta3)をHeLa細胞で過剰発現させ,微小管伸長端結合タンパク質(EB1, CLIP170, CLASP2)への影響を解析した。CLIP170やCLASP2の局在や染色強度は野生型ダイナミン発現細胞とダイナミン-555delta3発現細胞で変化しなかったが,EB1の染色強度はダイナミン-555delta3発現細胞において野生型ダイナミン発現細胞より増加した。以上の結果から,ダイナミンはEB1を介して微小管を制御している可能性が示唆された。
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