呼吸鎖電子伝達系末端酵素ファミリーの構造機能比較からエネルギー変換機構の普遍的構造基盤、ならびにエネルギー効率と機能多様性を決定する構造要因を解明することを目的として、4つのタイプ(チトクロムaa3 タイプO2還元酵素(aa3)、チトクロムcbb3タイプO2還元酵素(cbb3)、チトクロムc 依存性NO還元酵素(cNOR) 、キノール依存性NO還元酵素NOR (qNOR))の構造機能解析を進めた。 aa3の構造解析 1.4 Å分解能までの回折データを用いて、1.5 Å分解能での休止酸化型の構造解析、ならびに1.6 Å分解能での還元型の構造解析が完了した。酸化還元に伴い動くことが見出された水分子はプロトン輸送機能を担うことが示唆される。阻害剤シアン化物イオンが結合した酸化型構造を論文発表した。 cbb3の機能解析 cbb3と電子供与体チトクロムc4(c4)を単離精製した。cbb3によるc4の酸化速度とaa3によるチトクロムcの酸化速度を比較した結果、aa3の方がcbb3より高い酸化速度を示し、aa3では酸性領域で高く、cbb3では中性領域で高くなることが分かった。 cNORの機能解析 cNORと電子供与体チトクロムc551(c551)およびアズリン(Az)を単離精製した。cNORによる電子供与体の酸化における速度論的パラメーターをaa3およびチトクロムcd1タイプNO2還元酵素(cd1NIR)と比較した。kcat値はaa3によるチトクロムcの酸化と同様に酸性領域で高くなること、Km値はcd1NIR に対するc551およびAzと同程度であることが分かった。 qNORの結晶化 活性型のqNORを単離精製する方法を確立した。結晶化した標品を用いてX線回折実験を行った結果、4 Å分解能までの回折斑点が観測された。
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