研究課題
呼吸鎖電子伝達系末端酵素ファミリーの構造機能比較からエネルギー変換機構の普遍的構造基盤、ならびにエネルギー効率と機能多様性を決定する構造要因を解明することを目的として、おもに3つのタイプ(チトクロムaa3 タイプO2還元酵素(aa3)、チトクロムc 依存性NO還元酵素(cNOR) 、キノール依存性NO還元酵素NOR (qNOR))の構造機能解析を進めた。aa3の構造解析:休止酸化型の1.5 Å分解能、ならびに還元型の1.6 Å分解能での構造解析を完了し、結果を論文発表した。cNORの機能解析:チトクロムc551(c551)およびアズリン(Az)を基質(電子供与体)としたcNORによる基質酸化反応の速度論的解析を進めた。その結果、(1)Azの方がCyt c551よりも酵素からの解離が速いこと、(2)Cyt c551の方がAzよりも酵素への結合が速いこと、(3)酵素内部での電子伝達の速度がpH依存的であることが示唆される。qNORの構造機能解析:活性型のqNORを単離精製し、結晶化条件の検討を進めた。X線回折データの解析を行った結果、4.2 Å分解能の電子密度図を得た。キノールアナログ分子を基質(電子供与体)としてqNORによるNO消費速度を測定し、VmaxおよびKm値を決定した。呼吸鎖電子伝達系末端酵素ファミリーの構造比較解析:プロトン輸送経路である酵素内部の水クラスターの構造的特徴を分子表面構造解析によって9つの酵素について比較した。
2: おおむね順調に進展している
aa3の構造解析の成果が論文発表された。cNORの機能解析が完了し、その論文が投稿された。qNORの構造解析が4.2 Å分解能にまで向上した。qNORの機能に関する速度論的データが得られた。分子表面構造の比較解析が完了した。
aa3の構造解析(カルシウムイオン結合型、反応中間体等)を進める。qNORの結晶構造解析および速度論的機能解析を引き続き進める。呼吸鎖電子伝達系末端酵素ファミリーのpKaおよび静電ポテンシャルの比較解析を進める。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 1件)
J. Biol. Chem.
巻: 291 ページ: 23882-23894
10.1074/jbc.M115.711770