RNF213タンパク質の脂質代謝と自己消化(オートファジー)機能に関する以下の結果を得た。ア.RNF213の強制発現細胞ではオートファジー隔壁膜形成量の亢進を引き起し、その顆粒が細胞質内で凝集体として存在すし巨大リソソームが出現していた。一方、RNF213強制発現細胞がオートファジー阻害剤に対して感受性の増大し、増殖抑制及び増殖阻害を起こし、細胞死を誘導していた。しかし、この細胞死はRNF213のringfinger変異でも関係なく、R4810K変異ではさらに重篤な増殖阻害を示していた。イ.低酸素状態での脂肪滴形成促進にも関与しているようだが、これらはR4810K、ringfinger変異、AAA-ATPase変異間での相違は観察されていない。これらの強制発現細胞で、オートファジーの状況が変化した状況で、細胞の走査性を比較したところ、野生型及びringfinger変異では、非強制発現細胞と大きな違いは観察されないが、R4810KやAAA-ATPse変異では大きく走査性を低下させ、さらに細胞の移動方向の違いを見出すことができた。さらにHUVEC細胞を用いて、チューブ形成能の観察により血管形成維持への関りを調べた結果、も先の走査性の変化と同じであることが明らかとなった。これらのことより、R4810K変異は、ringfinger変異、AAA-ATPase変異の部分的変化を引き起こす変異ではないかと考えている。 マウス実験では、腸管での脂肪吸収などを調査することを行っている。これらマウスで高脂肪食や高炭水化物食を与えた状況が脂肪吸収や蓄積、隔壁膜形成との関連性を組織染色やオートファジー関与分子での免疫染色により調査しているが、現在その関連性は確認されていない。
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