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2016 年度 実施状況報告書

ショウジョウバエ視細胞における側底面膜への膜タンパク質の選別輸送の分子機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K07050
研究機関広島大学

研究代表者

佐藤 明子  広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (30529037)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード極性輸送 / 側底面 / ショウジョウバエ / 視細胞
研究実績の概要

多細胞生物の体を構成する細胞の多くは極性を持っている。このような細胞構造を作成し維持するためには膜タンパク質を選別して適切な細胞膜ドメイン(極)へと送る輸送(極性輸送)が必要だが、その分子機構はよく分かっていない。側底面膜への極性輸送については哺乳類上皮細胞を用いた解析からAP1, クラスリンが関与することが明らかとなった。私達はショウジョウバエで唯一のAP1 の欠損変異細胞の解析により、視細胞における側底面膜への極性輸送にAP1が必須であることを示していた(Satoh et al, 2013)。その後私達は、ショウジョウバエ視細胞を用いた極性輸送の解析によりRab10GEF, Cragが側底面への極性輸送に必要である可能性を示す結果を得、本研究を着想していた。
初年度は、Crag の変異体の詳細な解析を行い、Crag 表現型を詳細に解析した。その結果、Crag欠損変異体では、側底面膜へのNaKATPase の輸送が欠損し、発生過程では頂端面への誤った輸送がおこること、成虫では著しくNaKATPase が減少することを示した。
Crag はショウジョウバエ視細胞では光依存的なロドプシン輸送に関わると報告されている。そこで本年度は、発表論文と我々の研究結果の相違について研究した。私達は、Crag欠損変異体では、NaKATPase が減少することから、NaKATPase の欠損がロドプシン輸送へもたらす影響について、NaKATPase のRNAi を行なうことで検討した。その結果、NaKATPase の欠損がロドプシン輸送の欠損をもたらすることがわかり、Crag 欠損における光依存的なロドプシン輸送欠損は間接的なものであることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

発表されている論文と本研究では、Crag機能について異なる考察が得られているが、その理由について突き止めることが出来た。また、側底面への輸送に関わる因子について、当初考えていなかった因子について、非常に明瞭な結果が得られ、その因子がRab10,Crag とともに側底面輸送に関わることが明らかになった。これで、論文投稿に十分な結果が得られたと考えられ、現在論文を準備している。

今後の研究の推進方策

当初予定していなかった、側底面輸送小胞の融合に必要な因子のスクリーニングを立ち上げることができ、すでにそれを開始している。本年度中に、側底面輸送小胞の融合に必要な因子を突き止め、解析を進める予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] The roles of Syx5 in Golgi morphology and Rhodopsin transport in Drosophila photoreceptors.2016

    • 著者名/発表者名
      Satoh, T., Nakamura, Y and Satoh, A. K.
    • 雑誌名

      Biology Open

      巻: 5 ページ: 1420-1430

    • DOI

      10.1242/bio.020958

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] EMC は複数膜貫通ドメイン膜タンパク質の合成に特異的に必要な因子である2016

    • 著者名/発表者名
      佐藤卓至・大場綾・稲垣壮・劉自広・佐藤明子* (*:発表者)
    • 学会等名
      小胞体ストレス研究会
    • 発表場所
      岐阜薬科大学(岐阜)
    • 年月日
      2016-10-10 – 2016-10-11
  • [学会発表] 膜タンパク質生合成におけるEMC機能の解明2016

    • 著者名/発表者名
      平松直樹・佐藤卓至・佐藤明子
    • 学会等名
      小胞体ストレス研究会
    • 発表場所
      岐阜薬科大学(岐阜)
    • 年月日
      2016-10-10 – 2016-10-11
  • [学会発表] The mechanism of the domain formation within apical membrane in Drosophila photoreceptors2016

    • 著者名/発表者名
      Sakiko Ogi, Takunori Satoh, Atsushi Matsuda, Jiguang Liu, Akiko K. Satoh
    • 学会等名
      Japanese Drosophila Research Conference 12
    • 発表場所
      立教大学(東京)
    • 年月日
      2016-09-09 – 2016-09-11
  • [学会発表] Rab6 is required for multiple apical transport pathways but not the basolateral transport pathway in Drosophila photoreceptors2016

    • 著者名/発表者名
      Yuri Nakamura, Nozomi Iwanami, Takunori Satoh, Ziguang Liu, Akiko K. Satoh
    • 学会等名
      Japanese Drosophila Research Conference 12
    • 発表場所
      立教大学(東京)
    • 年月日
      2016-09-09 – 2016-09-11
  • [学会発表] EMC is essential for biosynthesis of rhodopsin and other multi-pass membrane proteins in Drosophila photoreceptors2016

    • 著者名/発表者名
      Takunori Satoh, Aya Ohba, Ziguang Liu, Tsuyoshi Inagaki, Naoki Hiramatsu, Akiko K. Satoh
    • 学会等名
      Nascent Chain Biology
    • 発表場所
      河口湖 Fiji Lake Hotel (山梨)
    • 年月日
      2016-09-01 – 2016-09-03
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] The mechanism of the domain formation within apical membrane in Drosophila photoreceptors - Analysis by electron microscopy and super resolution microscopy, STORM-2016

    • 著者名/発表者名
      Akiko K. Satoh
    • 学会等名
      Cell Polarity Signaling, Gordon conference
    • 発表場所
      Mount Snow West Dover, VT、USA
    • 年月日
      2016-06-12 – 2016-06-17
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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