研究課題/領域番号 |
15K07051
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
西道 教尚 広島大学, 保健管理センター, 研究員 (00583486)
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研究分担者 |
仙谷 和弘 広島大学, 医歯薬保健学研究院 (医), 講師 (30508164)
横崎 恭之 広島大学, 保健管理センター, 准教授 (80210607)
外丸 祐介 広島大学, 自然科学研究支援開発センター, 教授 (90309352)
佐久間 哲史 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 特任講師 (90711143)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | オステオポンチン / 線維化 / 翻訳後修飾 / ゲノム編集 |
研究実績の概要 |
インテグリン結合性のマトリックスタンパク質であるオステオポンチンは、組織線維化の進行に実際に関与していると考えられている分子である。しかし、生体内での実際の作用点がほとんど未解明であるのが現状である。我々はこれまでオステオポンチンが酵素により切断や重合を受けると性状及び活性を変化させ、一例として好中球の走化活性を惹起させ炎症応答を誘導することを試験管内及びマウス生体内で確認している。この発見は、線維化形成の際にもオステオポンチンの機能発揮にはこれら翻訳後修飾が重要である可能性を強く示唆している。そこで本研究では、オステオポンチンの線維化促進活性に酵素による切断や重合といった翻訳後修飾が重要であるか否か検討するため、切断不能または重合不能変異オステオポンチン発現遺伝子改変マウス及びオステオポンチン機能阻害抗体の準備を開始した。本年では、オステオポンチン翻訳後修飾の重要性をマウス生体内で検証する為に、CRISPR/Cas9法及び最新の手法であるPITCh法を活用したゲノム編集法により変異オステオポンチン発現遺伝子改変マウスの作製を試み、まず切断不能変異オステオポンチン発現遺伝子改変マウスの作製に成功し、現在は実験に使用可能な匹数の確保のため交配中である (重合不能変異オステオポンチン発現マウスに関しては、本報告書作成中に目的個体の誕生が確認できた)。また、オステオポンチンの重合を阻害する抗体を安定的に発現する哺乳動物細胞株の樹立を試み、同抗体を安定発現する細胞株の取得に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
重合不能変異オステオポンチン改変マウスの作製が遅れている。先行して作製に成功した切断不能変異型は1ヶ所の変異導入のみであるが、重合不能型は同時に四ヶ所変異を導入する必要があり、ゲノム編集の為の挿入遺伝子設計に時間を要した。また、オステオポンチン重合阻害抗体の肺線維化モデルマウスの投与実験は、取得精製抗体の量が少なく、匹数を十分確保できなかった。早急に追加抗体を調製して投与実験を再開する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
切断不能変異オステオポンチン発現マウスは、交配により匹数を確保した後、肺線維化を誘導して野生型マウスと病態を比較する。遅れている重合不能変異オステオポンチン発現マウスは、ゲノム編集の為の挿入遺伝子の準備が完了し、既に受精卵に注入して組換え体の取得中である。オステオポンチン重合阻害抗体は追加の発現、精製を実施し、必要量が確保できた時点で肺線維化モデルマウスに投与して病態への影響を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末残額が生じたが、必要な物品が残額を超過していたため次年度使用とした。
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次年度使用額の使用計画 |
必要な物品購入の際の使用額一部として使用する計画である。
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