研究課題
Wntシグナル経路のひとつであるWnt/平面内細胞極性(planar cell polarity:PCP)シグナル経路(以降、Wnt/PCP)は、細胞運動時に観察される前後極性や上皮組織における上皮細胞の配向パターン(PCP)を制御することで、組織・器官形成に関与する。Wnt/PCPは、細胞骨格のひとつである微小管のリモデリングと相互的に協調して機能する可能性が示唆されてきたが、その詳細は明らかでない。私共は、Wnt/PCPのひとつであるWnt5aシグナル経路がヒト子宮頚癌由来細胞株・HeLa細胞の細胞接着・運動を制御する事に着目し、HeLa細胞を用いたsiRNAライブラリーによる表現型スクリーニングを行った。これまでの研究経緯から、微小管結合タンパク質とそのパラログを対象としてスクリーニングを行い、Wnt5aシグナル経路を制御する新規分子としてMap7とそのパラログであるMap7D1(以降、Map7/7D1)を同定した。Map7/7D1は、Wnt5aシグナル経路の構成分子であるDishevelled(Dvl)と結合し、Wnt5aシグナル経路-微小管リモデリングの相互依存性を制御した。また、Map7/7D1がPCPの形成に関与するか否かを明らかにすべく、ショウジョウバエMap7/7D1ホモログ・Ensconsin(Ens)のPCP形成過程における機能を解析した。EnsはショウジョウバエDvlホモログ・Dshと結合し、その局在化を制御する事で、PCPの形成に関与した。さらに、Map7/7D1とEnsは共に、PCPを形成する上皮細胞において近位側に偏在化して局在した。局在化パターンとDvl/Dshとの結合の保存性から、Map7/7D1とEnsのPCP形成過程における機能が保存されていると考えられる。以上の研究成果を纏めた論文がEMBO reportsに採択された。
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EMBO Rep.
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J. Biochem.
巻: 162 ページ: 221-226
10.1093/jb/mvx016.
https://sites.google.com/site/lab1yakurihp/
http://researchmap.jp/read0147459/
https://www.researchgate.net/profile/Koji_Kikuchi/
http://orcid.org/0000-0002-7616-8200
http://www.researcherid.com/rid/W-1048-2017