本年度は、MAP1LC3C遺伝子の発現制御に関わる領域の解析ならびにMAP1LC3遺伝子ファミリーのエピジェネティックな発現制御を解析した。 MAP1LC3C遺伝子の転写開始点(+1)を含む領域(-903から+17)をpGL3-Basicに挿入し、HeLa細胞にトランスフェクション後、ルシフェラーゼ活性値を測定した。結果、pGL3-Basicに対して約3倍強のルシフェラーゼ活性の上昇を示した。次に、-903から+17領域をpCpGL3-Basicに挿入しCpG Methyltransferase M.SssIによりメチル化した。ルシフェラーゼアッセイの結果、メチル化前後でpCpGL3 -903/+17のルシフェラーゼ活性に顕著な変化を認めなかった。以上より、-903から+17 領域に含まれるCpGのメチル化は、MAP1LC3C遺伝子の転写に影響を及ぼすとは考えにくい。 次に、9種類のヒト子宮頸がん細胞株(SKG-I、SKG-II、SKG-IIIa、BOKU、HCA-1、HCSC-1、Ca Ski、ME-180およびHeLa)にMS-275または5-aza-CdRを処理し、定量的リアルタイムRT-PCRを実施した。結果、MS-275処理時にはME-180を除くすべての細胞株で、いずれかのMAP1LC3遺伝子の発現量増加を確認した。また5-aza-CdR処理時には、BOKUおよびHCSC-1を除くすべての細胞株で、いずれかのMAP1LC3遺伝子の発現量増加を確認した。次いで、ウェスタンブロッティングの結果、MS-275処理時にはMAP1LC3AおよびMAP1LC3Bタンパクの発現量増加は5種類の細胞株で確認できた。一方、5-aza-CdR処理時にはMAP1LC3AおよびMAP1LC3Bタンパクの発現量増加は、それぞれ4および3種類の細胞株で確認できた。
|