研究課題/領域番号 |
15K07070
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
若松 義雄 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (60311560)
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研究分担者 |
鈴木 久仁博 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (30256903)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 神経堤 / ヘテロクロニー / エンハンサー / Sox9 / 有袋類 / オポッサム / マウス |
研究実績の概要 |
(1) これまで、マウスSox9遺伝子の神経堤エンハンサー、及びその配列にオポッサム型の変異を入れたものを挿入したGFPレポーターを作成した。それらを鳥類胚に導入すると、マウス型エンハンサーが神経堤で活性化されるのに対し、オポッサム型では神経堤形成前の神経境界領域で活性化されることがわかっていた。オポッサム型には神経堤境界形成に関わるc-Mybの結合配列があり、c-Mybの共導入によりレポーターの異所的な活性化が見られている。昨年度、培養繊維芽細胞株においてc-Mybによるオポッサム型エンハンサーの直接的な活性化を検出できなかっため、鳥類胚を用いて直接的な活性化を定量的に検出することを試みたが、遺伝子導入された細胞を十分に得ることが難しく、うまくいかなかった。 (2) オポッサム胚の全胚培養を試みている。オポッサム胚より血清を採取することができたので、これを用いて培養実験を行ったが、目立った改善はみられなかった。その後は十分なオポッサム胚が入手できなかったため、培養条件の検討は進んでいない。 (3) オポッサムの皮膚から培養した線維芽細胞をリプログラミングして神経堤に分化転換する実験を引き続きおこなった。ニワトリSox10遺伝子の神経堤エンハンサーをレポーターとして用いたが、特異性が低かったため、マウスエンハンサーも用いたが結果は同様で、神経堤にリプログラミングされた細胞を選別することはできなかった。 (4) オポッサム型のSox9神経堤エンハンサーを鳥類胚に導入した場合、後脳より後方の神経境界でしか活性化がみられない。本年度はオポッサムSox9遺伝子上流に前~中脳にかけての神経境界領域で活性化に関わるエンハンサーの探索を始めた。現在およそ200kbの配列についてEGFPレポーターを60個ほど作成してトリ胚に導入したが、前~中脳レベルでの活性化は検出できていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
オポッサムのコロニーの不調により胚の入手が困難だったこと、c-Mybによるオポッサム型Sox9エンハンサーの活性化が検出できなかったこと、線維芽細胞の神経堤へのリプログラミングがうまくいかなかったことが要因である。
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今後の研究の推進方策 |
(1) オポッサムのコロニーの不調を改善すべく、新しいオポッサム成体の導入を進めており、これにより培養条件の検討を進めることができる。アガードロップを用いた新しい培養法のアイデアもあるので、これを試したい。 (2) 前~中脳レベルの神経境界で活性化されるオポッサムSox9遺伝子のエンハンサーの探索を引き続きおこなう。現在200kbを調べたが、あと800kbほどで可能性のある領域を網羅できるため、解析終了は時間の問題であり、これができれば大きなプログレスが見込める。
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