研究課題/領域番号 |
15K07074
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
黒川 大輔 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40342779)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 発生休止 / 発生進化 |
研究実績の概要 |
申請者は東アフリカに生息する一年魚(Nothobranchius korthausae)をもちいて、脊椎動物の発生休止現象の分子メカニズムを解明し、それらが進化的にどのように獲得されたのかを理解する事を目的に平成27年度から平成29年度の三年間の予定で研究を行っている。 平成27年度は、これまでのトランスクリプトーム解析等で発生休止時に高発現している可能性がある遺伝子について、定量的RT-PCRやwhole mount in situ ハイブリダイゼーション法により実際に発生休止胚で高発現してるものを選抜した。特にある種のホルモンをコードする遺伝子mRNAが発生休止の開始時に急激に発現が上昇している事を見出し、このホルモンが発生休止の引き金である可能性を考えて、TALEN, CRISPR/Cas9法といったゲノム編集技術によりこの遺伝子を欠失した系統を作製を行い、現在、ヘテロ個体の樹立には成功し、今後、ホモ個体を得て、この遺伝子が発生休止に与える影響を解析する予定である。 また、発生休止を可視化する為に、細胞分裂期には緑色、分裂休止期には赤色の蛍光タンパク質を発現するFluorescent Ubiquitination-based Cell cycle indicater (Fucci) を導入したトランスジェニックラインを樹立できた。この系統をバックグラウンドとして発生休止に関わる遺伝子をノックアウトした系統を得る事により、それらの遺伝子の機能を簡便に評価する系を確立した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
メダカ ゼブラフィッシュなどと比べるとNothobranchiusの飼育は難しく、27年度に一度原因不明の病気により野生胚やゲノムDNA調製用に維持していた自然系統が絶えてしまい一部の実験に遅れが生じたが、現在は飼育水槽の消毒および近親交配による脆弱化を避ける為に2系統を維持する等の対策をし、安定して実験に使用する個体を維持出来る体制を回復し、28年度には遅延は回復可能である。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き遺伝子欠失系統の表現型解析を行う。発生休止との関連が得られたら遺伝子発現を調節する領域を特定する為にゲノムDNAのクローニングを行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
ゲノムDNA解析用に準備していた野生系統が大量死したためにゲノムライブラリー作成を28年度に行う為に次年度使用とした。
|
次年度使用額の使用計画 |
現在、野生系統の復旧に成功し、今年度上半期にゲノムライブラリーの作製を行う予定である。
|