近年、心疾患に対する再生医療のアプローチの一つとして、もともと心筋ではない細胞に特定の遺伝子を導入することで心筋細胞へと分化させるいわゆるリプログラミングが注目を集めている。しかし、本手法は心筋への分化効率の低さという欠点が存在した。私は、心臓では発現が抑えられている心筋分化を抑制する因子としてactin-related protein 5 (Arp5)を見出し、その機能を明らかにした。Arp5は心筋分化に重要な転写因子であるmyocardinやMEF2Cの機能を抑制しており、Arp5の発現を抑制することで本来心筋細胞ではないP19CL6細胞が心筋へと分化する効率を上昇させることに成功した。
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