胚の形態形成というイベントは遺伝的プログラムによって進行すると考えられてきた。本研究では、胚を取り巻く環境が遺伝的プログラムを修飾し、形態形成を制御する可能性を検討した。本研究の成果により、子宮内の低酸素環境が細胞内の代謝系の活性化を介して、神経管閉鎖という胚発生過程で最もダイナミックな形態形成過程の一つを制御することが明らかとなった。これにより、新規の環境因子依存的な発生メカニズムの存在が明るみとなった。神経管閉鎖不全は無脳症や二分脊椎症などの先天性障害の原因であり、妊娠期の葉酸欠乏が原因であると考えられている。本研究成果により、解糖系代謝異常もこれらの原因となり得ることが示された。
|