研究課題/領域番号 |
15K07085
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研究機関 | 沖縄科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
鈴木 祥宏 沖縄科学技術大学院大学, その他の研究科, 研究員 (10391997)
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研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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キーワード | 錐体視細胞 / ゼブラフィッシュ / 錐体モザイク / 細胞間接着 / パターニング |
研究実績の概要 |
変態後のゼブラフィッシュにおいて産生された錐体視細胞が形成する規則的格子パターンの形成機構の解明について、昨年度は以下に示す成果を得ることができた。
(1)甲状腺ホルモン受容体β2(thrb)遺伝子の欠損変異体をCRISPR/cas9法により作製し解析を行った。この変異体の変態後の網膜では赤錐体が特異的に欠損していたが、青・UV錐体列と緑錐体の列が交互に現れる比較的規則な配置パターンを示した。しかし、局所的に観察すると、野生型では一つの青錐体の両側に赤錐体が一つづつ結合した鏡像対称の細胞間接着様式を示すが、thrb変異体では鏡像対称な細胞間接着様式を持つ青錐体は稀で、一つの緑錐体とのみ接着するものや、3つもしくは4つの緑錐体と接着するものといったばらつきが見られた。このことは緑錐体と青錐体間には強固な細胞間接着を形成することができないことを示唆するものと考えられる。 (2)緑錐体を欠くsix7遺伝子の変異体を入手し解析を行った。変態後のsix7変異体の網膜では錐体の配置パターンは大きく乱れており、一つのUV錐体を取り囲むように赤錐体と青錐体が配置していた。特に赤錐体間の細胞間接着が増えていることから、規則的モザイクパターンの形成には、緑錐体が赤錐体に結合することにより、赤錐体の接着性が適切に制御されることが必須である可能性が示唆された。 (3)錐体モザイク形成に関わる遺伝子をスクリーニングするため、赤、青、UV錐体視細胞が特異的に蛍光タンパクの発現により標識された3種類のトランスジェニック系統から、標識された錐体細胞をセルソーターにより分取し、RNAを採取する条件を決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
27年度秋に追加採用されたため、当初の計画に比べ進捗が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
追加採択であったため、研究計画に比べ進捗が遅れているが、thrb変異体とsix7変異体の解析により、規則的な格子状の配列構造を形成するための細胞接着の働きを明らかにすることができた。今後は、これらの錐体間を実際に接着している細胞接着因子やそれらを制御するシグナル因子を明らかにするための遺伝子スクリーニングを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
追加採用のため研究開始時期が遅れた。その結果、当初予定していた次世代シーケンサーを用いたトランスクリプトーム解析に必要とされる予算の執行が次年度にずれてしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
次世代シーケンサーを用いたトランスクリプトーム解析を取り急ぎ行う。
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