GFPをプローブとした1分子イメージングを用いて、線虫卵の細胞膜上に局在するPAR-3をの細胞膜上からの解離速度と結合速度を計測したところ、極性軸方向に非対称で、PAR-3が蓄積している将来の頭側領域において、解離速度が遅く結合速度が速いことがわかった。また、線虫受精卵において、これまで用いていた蛍光タンパク質プローブGFPを用いてPARタンパク質の1分子イメージングを行うと、約10%が細胞内のbackground蛍光分子であることがわかったため、この未同定分子由来の蛍光輝点を除くため、mNeongreenを用いて1分子イメージングを行ったところ、未同定分子由来の蛍光輝点を蛍光強度を指標に解析から除くことが可能であることがわかった。今後の解析では、mNeongreen(mNG)をprobeとして1分子イメージングおよび解析を行っていくことでより精度の高い解析が行える。また、特に発現レベルの低いGFP::PAR-3の計測では、少なくとも数個のPAR-3分子を含むオリゴマーを同定していたが、オリゴマーサイズが極性軸方向に変化するかどうかはっきりしなかった。mNG::PAR-3の細胞膜に滞在する時間がオリゴマーサイズの変化により制御されている可能性を検討するために、mNG::PAR-3を1分子イメージングし輝点強度の解析を行った。mNG::PAR-3のオリゴマーサイズは極性軸方向にほとんど変化しないことがはっきりとした。これまでの報告通り、PAR-3分子の膜への滞在時間は主にリン酸化により制御されていると考えられる。
|