研究課題
ヒトTBL1のホモログであるショウジョウバエEbiはF-box/WD40リピート構造を持ち、発生・分化、自然免疫あるいは神経細胞の生存維持において、多くの転写因子と共役することにより働いていることが解っている。これまでの解析で、Ebiがエピジェネティックな制御に重要なポリコームの中で、PRC1蛋白質と複合体を形成し、ポリコームの絹調節に働いていることを示唆するデータが得られている。昨年度は、ポリコーム群の安定性におけるEbiの機能調節機構を解析した。EbiはF-box/WD40リピートというユビキチンリガーゼ様の構造を持ち、これまでも蛋白質の安定性に対して負に働いていることが解っていたので、当初はポリコームに対してもユビキチンリガーゼとして機能していることを予想していた。しかし、培養細胞を用いた解析から、Ebiは過剰発現によりポリコーム蛋白質の安定性を増加していることが示された。そこで、Ebiの変異クローンを成虫原基で作成して、ポリコーム群の細胞内局在について検討した結果、Ebiはアポリコームの安定性に対して細胞質では正に働き、核内では負に働いていることが示唆された。生化学的な解析の結果、Ebiとポリコーム群との相互作用には、Ebiの翻訳後修飾が必要であることが示唆された。Ebiは翻訳後修飾を受ける事によりポリコームの安定性に対して正にも負にも働いていることを予想している。最終年度は、このEbiの翻訳後修飾に関する調節機構を明らかにすると共に、生物学的な重要性に関して解析を行う予定である。
3: やや遅れている
当初、Ebiとポリコームの関係は単純だと予想していたが、実際はEbiはポリコームに対して正にの負にも作用するという2面性を持っていることが明らかになった。このことを突き止めるまで時間を要した。
今後はEbiの変異体との関係等の遺伝学的な手法を生化学的な手法と組み合わせて用いてゆくことにより、早い進展が期待される。
当該年度の予定としては、生化学的解析および組織学的な解析を全て修了させ、論文の作成を行う計画だったが、思うように進展しなかったため。
本年度は問題点も解決できたことから、予定どおり計画を遂行したい。生化学的解析および組織学的な解析が多くなる事が予想され、論文作成および成果発表等で予定どおりの使用が見込まれる。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)
Aging (Albany NY).
巻: 8 ページ: 1-14
10.18632/aging.100899
Acta Neuropathologica Communications
巻: 4 ページ: 109
10.1186/s40478-016-0380-x