研究実績の概要 |
NACドメイン転写因子であるVNI2は、他のNACドメイン転写因子であるVND7と結合することで、VND7の転写活性を阻害し、道管形成を抑制することが明らかとなっている。また、発現パターンの解析より、VNI2は道管形成以外の役割も有している推測された。VNI2のさらなる機能の解析を行うことを目的として、相互作用因子の探索を行ったところ、30ものNACドメイン転写因子が単離された。 昨年度までに、VNI2と相互作用因子として単離されたNACドメイン転写因子であるATAFに着目して解析を行ったところ、ATAF2は老化の鍵遺伝子であるORE1の発現を正に制御することを明らかにした。また、野生型と比較してataf2変異体は老化が遅延するのに対し、ATAF2過剰発現体は老化が促進されることを明らかにした。そこで、今年度は老化に関与する遺伝子群の発現パターンについて検証を行った。その結果、ATAF2はORE1以外にも老化を促進するAtNAPやANAC046, ORS1などの発現を促進することが明らかとなった。また、興味深いことに老化の進行を抑制するJUB1やVNI2についてもATAF2は発現を誘導することが明らかとなった。特に、JUB1は暗条件下で誘導される老化過程でATAF2により著しく発現が制御されることが明らかとなり、これらの結果は、ATAF2が様々なシグナルに応じて老化の進行を制御しうることを示唆している。 VNI2と、ATAF2との作用機構を明らかにするために、変異体の解析を行った。vni2変異体では、老化の進行が促進される表現型を示すのに対して、vni2 ataf2二重変異体では、その促進効果が緩和されることが明らかとなった。これは、VNI2の老化を抑える働きはATAF2の存在に依存することを強く示唆している。
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