研究課題/領域番号 |
15K07102
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
土屋 雄一朗 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 特任准教授 (00442989)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ストリゴラクトン / ストライガ |
研究実績の概要 |
ハマウツボ科の寄生植物であるストライガは、アフリカの穀物生産に深刻な被害を与える有害植物として知られている。植物ホルモンであるストリゴラクトン(SL)は、ストライガの発芽を刺激するホストファクターでもあることから、寄生能力の進化とストライガの防除の両方において鍵となる因子と考えられている。本研究では、光シグナル伝達とSLシグナル伝達のクロストークの分子機構について、ストライガとの相違点を明らかとする。SL受容体は、SLシグナル伝達を理解する上で最も重要な因子と考えられる。蛍光ターンオン型SLミミックであるヨシムラクトンを開発し、これまで未知であったストライガのSL受容体の同定とキャラクタライゼーションに成功した。シロイヌナズナやイネでは、α/βヒドロラーゼ様タンパク質 Hyposensitive to light/ Karrikin insensitive 2 (HTL/KAI2)が発芽を制御する受容体として機能し、F-boxタンパク質であるMax2とのリガンド依存的な相互作用を介して、下流の負の制御因子群をユビキチン依存的プロテアソーム経路で分解することでシグナルを伝えると考えられている。興味深いことに、ストライガではHTLのコピー数の増加が見られ、それぞれについて、ユニークなSLあるいはSL様分子との生化学的結合の特性を持つ。そこで、リガンド選択性とユビキチンリガーゼとの機能の関係性を調べるため、インビトロでのユビキチンリガーゼアッセイ系の再構成を試みた。ストライガのMAX2ホモログタンパク質であるShMAX2の大腸菌での発現は困難を極めたが、マルトース結合タンパク質との融合タンパク質の発現が成功し、SCFコンプレックスの再構成へと進めた。光シグナル因子を基質としたユビキチン化アッセイより、リガンドの選択性との関係性を明らかにできると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
一般的に、F-boxタンパク質の大腸菌での発現は難しいと言われているが、ShMAX2についても極めて困難を極めた。本研究では様々な融合タグを試したが、その中で唯一マルトース結合タンパク質が機能することが明らかとなった。しかしながら、インビトロでの酵素活性を調べるには、標的タンパク質との相互作用にとどまらず、実際にユビキチンリガーゼ活性を持つか調べルことが重要と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
SCF複合体との共発現及びユビキチンリガーゼアッセイ系の確立し、どの光シグナル伝達因子が基質となりうるのかを明らかとすることで、光シグナル伝達とSLシグナル伝達とのクロストークの機構をピンポイントで解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
インビトロでのユビキチンリガーゼアッセイ系の確立が予定より遅れているため、本年度に購入予定であった酵素類を次年度へ繰越すこととした。
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次年度使用額の使用計画 |
ユビキチンリガーゼE1及びE2スクリーニングキットを購入する。
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