寄生植物は、他の植物から栄養を搾取することに特化したユニークな植物である。ハマウツボ科の寄生植物であるストライガは、アフリカの穀物生産に深刻な被害を与える有害植物として知られている。植物ホルモンであるストリゴラクトン(SL)は、ストライガの発芽を刺激するホストファクターでもあることから、寄生能力の進化とストライガの防除の両方において鍵となる因子と考えられている。しかし、ストライガでは遺伝学解析が不可能であるため、そのシグナル伝達を解明する試みはこれまで一切なされていなかった。本研究では、シロイヌナズナをモデル系として併用する戦略より発見した、ストライガにおける11個のメンバーからなるα/βヒドロラーゼ様タンパク質ShHTLのストリゴラクトン受容体としての機能を解析し、そのシグナル伝達の仕組みの解明に取り組んだ。受容体により加水分解を受けることで蛍光を発するストリゴラクトンミミックであるヨシムラクトンの開発より、種子の根の先端より波の様に起こるダイナミックな受容が起こることで発芽を起こすことを見出した。さらに、ヨシムラクトンを用いたin vitroでのストリゴラクトン結合試験より、11個の受容体には様々な天然ストリゴラクトンに対する結合の好みが存在し、それによって宿主の種を見分けている仮説へとたどり着いた。それぞれの受容体でどの様な役割分担が行われているのか、また、受容体の間にどの様な遺伝学的相互作用が存在するのか、といった疑問を解明すべく、シグナルを統合して伝達する機構の解明が今後望まれる。
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