研究課題
植物の根端分裂組織では、幹細胞群が静止中心という増殖活性が極めて低い細胞を取り囲む構造が見られる。本研究では、静止中心において特異的に細胞増殖能を抑制する仕組みについて、リボソーム量の制御の観点から理解する事を目的とした。最終年度は、複数のリボソームタンパク質(例えばRPL4D, RPL38BやRPS21Bなど)が、静止中心で低蓄積になることを示した。一方、これらの遺伝子は静止中心でも強く発現していた。従って、40S, 60Sサブユニットの構成因子に対して、転写後レベルでその蓄積量を制限する機構の存在が示唆される。興味深い事に、静止中心では複数のリボソーム生合成因子の蓄積がほとんど見られなかった。従って、リボソーム生合成の抑制が静止中心の細胞増殖能を低く保つ機構の1つであることが示唆される。また、リボソーム合成の需要を超えて存在するリボソームタンパク質を速やかに除去する、第2の機構の存在も示唆される。このような仕組みに関わる因子を見い出すため、静止中心でRPL4D-GFPを過剰蓄積する変異株を探索し、2系統の候補を得た。また、ホルモン投与実験から、ブラシノステロイドとサイトカイニンが、静止中心でRPL4D-GFPの蓄積量を増大させる効果を持つことが明らかになった。3年間の研究により、静止中心特異的では、複数のリボソームタンパク質の蓄積が少なくとも2つの仕組みで制限されていること、リボソームタンパク質の欠損により、根端分裂組織の精密なパターン形成に異常が生じることが明らかになった。今回明らかになった植物ホルモンの効果や、新たに単離した突然変異株の解析をさらに進めることで、リボソーム量の制御によって、静止中心の特有の振る舞いを決定する機構の理解がさらに深まると期待される。
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